第652回 海外で人気の和食店は本当においしいのか
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- 2005年5月23日(月)
内容が料理関係だったので家人によばれたのですが、
思わずメモをとりたくなったくらい、
興味深いというか突っ込みたくなる内容だったのです。
テーマは和食や和の食材らしいのですが、
前半は海外で有名な和食の料理人や店を、
後半は和の食材に注目している海外有名シェフの話でした。
本日はまず、前半に対して。
今はNYでは和食が以前の3倍の数になったとかで、
回転寿司のほか、ダイニング和食も流行っているそうです。
巨大な釣鐘、氷の大仏なんかを飾っているのをみると、
本末転倒を感じますけど。
ブーレーというNYの有名シェフが居るそうで、
大阪の寿司屋に感心しているのには驚きました。
昼だけしか営業していないとのこと。
鮮度が落ちるから夜は営業しないということで
感心しているようですが、
「鮨」というものをまったく知らないのでしょう。
タネが新しければいいというものでないのは、
仕事した鮨タネだけでなく、
青魚や烏賊を除いた刺身にしてもいえるはずです。
有名シェフはこの根本がおわかりではないらしいし、
それを番組で流すということは、
製作側の日本人にもその知識がないことがわかります。
大阪のどんな鮨屋だか知りませんが、
こんな客寄せ口上をしている店には行きたくないですね。
そして、海外で成功した日本人としてお約束の
「ノブ」が登場してきました。
自家用ジェットで飛び回る姿は、
料理の世界を目指している若者や子供たちに夢を与えるでしょうが、
彼の店の料理が本当に客に満足を与えているのでしょうか。
海外にまで行って、
和食を食べるような無駄な時間や予算がないので
私はこれら有名店にいったことがないのですが、
東京の「ノブ」の店には何回か行ったことがあります。
ソーホーズ経営ということを知らない客が多いようでしたが、
業界人などに支えられなければ、ソーホーズより
「ノブ」単体の方が先におかしくなったのではないかと思うくらい、
変な料理と感じました。
生の魚臭さを取るため、
熱したオイルや熱いソースをかけるといった手法を
TVで紹介していましたが、
このような変則料理を
日本料理だとアメリカや諸外国に宣伝するのはいかがなものか。
また、一時は逆輸入と囃されていた
「ロール寿司」をメインにした、「レインボーロールスシ」。
おいしいとリピートする人がいるのでしょうか。
要はアメリカで受ける和食もどきは、
ちょっと食べなれた日本人には理解しがたいものであると考えます。
ノブさんはアメリカに行って
和食のわからないデニーロに気に入られたから
ジェット機が持てるようになっただけで、
日本だったらその才能を発揮できたかどうか。
陳建民氏が日本人向けに甘くしたマーボトーフを広めたおかげで、
四川料理の普及は遅れてしまったと以前コラムで書きました。
賛否多数のご意見をいただきましたが、
私はノブがこの変な和食を広めてしまったおかげで、
当分まともな和食は
アメリカなど諸外国では受け入れられなくなったと考えます。
でも、日本では中華、特に北京や上海に限らず
色々な地方の本格料理が紹介されてきています。
中華=北京ダックの時代は終わったのではないでしょうか。
韓国料理もじつは焼肉ではない、
と焼肉以外の韓国料理店は増えています。
日本人は何十年か経ってから、
真の味わいを追求する方向へ向き出しましたが、
アメリカ人はどうでしょうか。
イタリアン、フレンチとも、
本物ではなくアメリカ版に修正してしまったものが人気ですから、
和食も本物志向にはならないでしょう。
ということは、
ノブさんは当分ジェット機に乗り続けられるということですね。