第653回 あの店は今・・・ 兼定 1

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  • 2005年5月24日(火)
ザガットくらいしか
掲載しているガイド本がなかったと記憶しているのですが、
なかなかの人気のようです。
売れなかった拙著の高評価はまったく影響がないと思いますが、
小山薫堂氏が「世界一おいしい鮨屋」と発言したからでしょうか、
なぜか連日満席の六本木、旧防衛庁近くの江戸前鮨屋であります。

私はこの一年、何度か予約にトライしたのですが、
満席ということで断られました。
鮨屋はその時の気分でその日、
せめて前日くらいに急に訪れたくなるもの、
フレンチと同じように
予約を1週間以上も前からする気になれなかったのです。
今回は「あの店は今」シリーズの取材の為
かなり前に入れての半年ぶりの再訪でした。

19時過ぎで店内はガラガラ。
しかし30分も経たないうちに満席になりました。
本当に繁盛しているようです。
兄弟がつけ場に立っていますが、
主人が久兵衛出身と知っている人は少ないのではないでしょうか。
握りの形状はいわゆる久兵衛タイプと違うように思えます。

この店の特徴は酒飲みに優しいことです。
「さわ田」に匹敵するツマミの数は10皿近く。
ますますツマミが増えたように感じました。
これほど充実している鮨屋は東京でもあまりありません。
ツマミの定番、アンキモ、カラスミ、塩辛、蒸し鮑などは
質がよく美味。

訪問当時は11月と時期的に疑問だったカツオも
その年食べた中で最上だったのが意外でした。
「次郎」で初夏に食べたカツオが最低だったと
今でも我家では語り草となっているくらいです。
このままではツマミだけで
お腹一杯になってしまうと心配していると、
ようやく握りがスタートします。

<明日に続く>