第646回 こんな店を薦めていいのか、南進 難波 1

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  • 2005年5月17日(火)
前々から楽しみにしていた大阪は難波の、期間限定フグ専門店です。
以前山本益博氏の「イチ押しの50皿」で紹介されていた
「白子雑炊」の絶賛文と、
下関直送の天然トラフグを扱っていながら
コース1万数千円という価格設定に惹かれて、
昨年11月、予約をとって訪問してしまいました。

一押しの料理と週刊誌で書きながら説明が不十分なのが残念。
この「白子雑炊」は12月からしか出さないとの事で今回は空振り。
文中に明記していただきたかった。
さて、法善寺近くのこの店を、
地図を見ながら探し当てて私は力が抜けました。
天然は天然でも、看板には「活天然フグ」とあり、
水槽まであります。
そこにほとんど動かない、
死にかけたようなフグが数匹浮かんでいるのです。
一気に期待はしぼんでしまいました。

生簀や水槽に生かしてある
活け〆の白身や赤身の魚がうまいと思っている人が
まだ存在しているのでしょうか。
イカや青魚でない限り、
肉と同じである意味熟成をして旨みがでてくるというのは常識です。
昨今の生簀料理屋が流行らなくなってきたのは、
この定説が広まったからだと思うのですが、
まさか大先生が推薦した店が、
活け〆のフグ屋だったとは驚きました。

戸をあけて中に入ったら尚驚きです。
大阪といえども天然トラフグをこの値段で出すのですから、
居酒屋風は覚悟の上。
しかし、1階のカウンターは、
店の帳簿とか道具などが散乱していて
座れるようになっておりません。
ではテーブルはというと、野菜などの食材の箱が乗っかっていて、
これまた客が座れません。
2階の個室へ案内されるのですが、
予約時刻より早めではなく、オープン後の入店です。
この雑然を通り越した散乱とした店内状況、
とても客商売、料理商売の店とは思えない光景に
食欲は減退しました。

2階は掘り炬燵式の個室でしたが、
女性外人スタッフは片言の日本語で、
しかも料理の説明が出来ません。
コースや単品の説明は女将一人しかできないのです。
大阪でいくら居酒屋風といっても、
客単価1万円以上は高額店のはず、天然フグも高級食材のはずです。
そんな店で経費削減といえども、
チェーン居酒屋と同じようなスタッフ構成に私は疑問を感じました。

<明日に続く>