第647回 こんな店を薦めていいのか、南進 難波 2

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  • 2005年5月18日(水)
メニューには価格が明記されていませんが、一々確認したところ、
刺身、から揚げが各2千円、
ちり鍋も5千円とかなり安い設定です。
東京の常識ではまずこの値段では天然トラフグに遭遇できません。
コースは付き出し、湯引き、刺身、ちり、雑炊、デザートで1万円。
質は良くないが安くて人気の
「こやなぎ」(麻布十番)より安い設定です。
また、未だない白子料理の一品に、
「キャピア添え」とあったのは、
恐らく「キャビア」のミスプリと推測します。

女将が外人スタッフにポン酢をかけたか確認していた湯引きは
まったく凡庸というか東京の養殖フグ屋のレベル。
刺身も薄くて旨みを感じません。ポン酢も濃すぎ。
しかも未だ刺身を食べている時点で、鍋に火を入れだしました。
刺身が温まってしまうではないか。

2.5キロ以上の成魚を使っているとのことですが、
ちり鍋も旨みが出ていません。
その後の雑炊は一度厨房へ戻します。
目の前で雑炊をなぜ仕上げないのか、
おそらく化学調味料などの添加をしているのでしょうが、
マスヒロ氏はこの隠蔽工作を、
「厨房へ一度持ち帰って化粧しなおしてくる」
といった良い意味でのコメントを出していました。
人が良すぎるのか、味がわからないのか、
それとも見逃しているのかわかりませんが、
雑炊を客前で造らないフグ屋は、
影で化学調味料を添加しているはずだと、
ある有名高額フグ屋の主人が言っていました。
疑われるようなことをしてはいけないということでしょう。

フグの質に疑問で味わい浅いこの雑炊が、
12月に白子を入れたところで果たして絶品になるのでしょうか。
追加で頼んだ2千円のから揚げは
この値段ならしょうがないでしょうか。

ビールや鰭酒を飲んで一人1万5千円前後。
天然トラフグと先入観があるから安く感じますが、
ブラインドで食べたら天然とわかるかどうか、
天然ならば何でも良い、ということではない事を
東京の「こやなぎ」に続いて証明してくれた店でした。

<結論>
こんな水槽活け〆で、散乱した店内のフグ屋を、
天然というだけで推薦してしまっていいのだろうか。
帰るときも一階の散乱はそのままでした。
料理云々を評価する以前の問題です。
週一回、無理して「一押しの皿」など
お勧め料理を探し出すのですから、
こんな外れの店が掲載されるのも仕方がないのでしょうか。
最近特にマスヒロさんの紹介料理の質の低下が目立ちます。