第614回 フカヒレについて その1フカヒレ入門

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  • 2005年4月15日(金)
フカヒレについての第590回のコラムを読まれて、
私の貧弱な知識を心配された読者の方から、
詳細なフカヒレについての説明をいただきました。
業界に近い方のようで、
フカヒレの原材料から料理品になるまでの行程のほか、
原価や値付け、流通など
かなりディープな面まで突っ込んだその内容、
すべて公にするわけにはいかないのですが、
せっかくいただいた内容を、
友里の頭にだけしまっておくのはもったいないと考えました。
アル中気味で記憶からすぐなくなってしまうかもしれないからです。

そこで、すべてを明かすわけにはいきませんが、
当たり障りのない範囲、そして時にはちょっと突っ込んで
シリーズとして書いてみたいと思います。
あくまでお教えいただいた方の見解を
私のプアな知識や経験で噛み砕いたものですから、
正確無比ではないかもしれません。
問題点がありましたら、どうぞご指摘をお願いします。
まずは入門編。
フカヒレといっても
漠然としたイメージしかない方もいらっしゃるとでしょうから
(私も)、わかりやすくまとめました。

1、そもそもフカヒレとは何ぞや
フカ=サメですね。よってサメの鰭です。
関西ではよく「フカ」という言葉を使うようで、
蒸すだか噴かしたサメの肉を
酢味噌のようなもので食べる地方もあると聞きました。
そのサメ、色々な種があるようですが、
主に高級中華のフカヒレ料理に使うサメは、
以前に述べたようにヨシキリザメとアオザメでしょう。
この中華に使うフカヒレは乾貨といい、つまり干し物ですね。
干し鮑、燕の巣、浮き袋、干貝柱、干海鼠もその仲間です。
干すことにより、旨み成分を凝縮するということでしょうか。
シイタケと同じです。

2、どこで干すのか
船でサメを釣り上げて鰭を切断、
本体はそのまま海へ捨てる行為を写した
TVをみたことがありますが、船上での処理は制約が多く、
雑になるので良いものができないそうです。
しかも残酷だと批判されます。
良いものは陸へあげてから処理、
そして完全天日干しかどうかは疑問ですが、陸干しするそうです。
干したものを「ゲンビレ」といいます。

3、どの部分が良いのか
日本人が好む、筑紫楼の唯一のウリでもある
「姿煮」は背鰭がいいとのこと。
崩した太い繊維のフカヒレを好む人は尾鰭です。
物はヨシキリよりアオサメが上物でしょう。
本場では、姿煮より、
太いアオサメの尾鰭を好む場合が多いと聞きました。
形や大きさよりも太く肉厚の方が好まれるということです。

4、もともとのフカヒレは味がしないのでは
私もフカヒレは味がなく、調理で煮込むスープなどの味で、
フカヒレはその食感を楽しむものと思っておりました。
しかし、本来乾物なので、
その腐敗香といったら語弊があるかもしれませんが、
それからくる旨みが特徴だとの事。
しかし、最近は乾燥後の下処理も業者まかせになっているらしく、
掃除をしすぎて無味無臭なフカヒレになってきているそうです。
よってますます、調理の腕の差がでてくるというわけです。

<次回のシリーズに続く>