第613回 ゾーエとチアーズ、見てきました!

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  • 2005年4月14日(木)
昨年の10月の交詢ビル以来でしょうか、
銀座に大手のデベロッパーが関与した
新しい賃貸テナントビルがたてつづけに2つ、
オープンしてきました。
以前のコラムでもちょっと触れましたが、
プランタン向かいには三井不動産が手がけた「ZOE銀座」、
5丁目の三原小路近くには野村不動産の「チアーズ銀座」です。
前者は日本橋の「コレド 日本橋」と同じく飲食店だけではなく、
ファッションや美容室なども入っていますが、
後者は同じ不動産会社の手になる
「コンツェ恵比寿」と同じく飲食店専門のビルとなっております。
やや出遅れた感がありますが、
この友里がちょっと偵察に行った際の
感想などを述べさせていただきます。

まず、ゾーエ銀座。
1階から3階まではマックスマーラやラクロワなど
ファッション系のテナントで、
地下と4階から9階までが飲食店となっています。
今流行りの公共スペース削減策なのでしょうか、
飲食店フロアは1つの店で貸切、
よってエレベータから降りると直ぐ店となっています。
1階のエレベータホールには、
あまりお金をかけていない薄いフロアガイドの他、
各店のパンフが置いてあり、ランチ用の建て看板もありますが、
通行人にはいかにも情報不足。
エレベーターから店内が直結ですので、
どんな店か客が覗くことができません。
この手の店の客、つまり古い言い方では「銀ブラ」、
すなわち観光や買い物かたがた飲食する客には、
まったく訴えることが出来ない仕組みになっているのです。
その店に最初から入ると決めて行かなければ
エレベーターに乗れません。
永谷園の自然食店、ダイニング系のフュージョン・和食のほか、
注目すべきは、増殖の一途を突き進むグラナダの中華と
ヒラマツグループのASOが出店していることでしょう。
グラナダはコレドのイタリアンや「サン パウ」、
交詢ビルの鉄板焼き「かいか」と
いずれも集客が厳しいように見受けられるのですが、
三井不動産と太いパイプがあるのでしょうか。
また、ASOは8階、9階と2フロアも借りての挑戦です。
昨年10月に三越新館に出したばかりというのに
私にはなにやら暴走に見えてしまいます。
しかも、ランチで5千円と8500円という破格の値付け。
これでは自ら客を遠のけているようなものと考えます。
交詢ビルよりも認知度が低いままオープンしてきたこのゾーエ。
交詢ビルの成功とはいえない現状で、
三不がこのビルで挽回できるかどうか見物であります。

チアーズビルはゾーエに比べて小規模です。
良く見ると地型がわるい。
実はL字型になっていまして、飲食店部分は細長いもので、
三原通りに面している部分は
エレベータ2基とそのホール部分のスペースしかありません。
確認のため、沖縄料理店へ入ってみたのですが
店内は厨房も含めて細長いスペース収まっておりました。
これでは同じ飲食店でも制約をかなり受けるでしょう。
ゾーエと違って比較的廉価で客当たりのスペースが少なくてすむ、
居酒屋系の出店になっているのは仕方ありません。

どちらのビルも、あまり大々的に雑誌など
マスコミで宣伝されることなくグランドオープン。
しかも、大事なパンフが貧弱で、
店の様子を覗く事が出来ない店構えと言うか、ビル構造。
これでは、高級・高額店志向の店は厳しいでしょうね。
雑居ビルのイメージがついてまわると考えます。