第611回 蟹の時期だけは混んでいる、シェフス その1

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  • 2005年4月12日(火)
あまりマスコミに登場していない、
新宿御苑駅から徒歩10分ほどの
喫茶店のような外観の上海料理店です。
マダムに癖があり、以前招待客も含めていい思いをしなかったので
訪問を控えていたのですが、
ある雑誌で大々的取り上げられた記事の内容にびっくりしました。

「都内某所」、「匿名希望」として神秘性を持たせた紹介記事では、
上海で育ったシェフは
6歳の時に「オメガ」のストップウォッチを父親から買ってもらい、
おいしいゆで卵の調理時間を割り出す道具として使用。
その後上流社会にだけ許されたエピキュリアンの道を歩み、
「蟹は生きたまま、それもミソだけ食べるものと、
子供の時には思っていた」とあるのです。
つまり、主人は、かなりの環境で育った
一般人とはかけ離れた金銭感覚の持ち主のように
紹介されていたのです。
なんという嫌味な性格の主人のことか。

10年前までは渋谷方面で営業していた時の店構えや、
その後この地へこの店構えで移転した主人の経歴からは、
当時の上海で幼少時にオメガを持てる富裕層、
エピキュリアンの面影はまったく感じ取れません。
幼少の頃からオメガを持てる富裕層、エピキュリアンの一員が、
なぜ日本の小さな中華店で料理を造っているのか突っ込まず、
仮にそれが本当だとしても、
それを自慢のごとく取材で口外する主人の辞書には、
「謙虚」という文字はないのでしょう。

山本益博氏は店名や住所を週刊誌で公開していました。
「美食の王様」でも掲載されていますので、
友里が取り上げても良い店と判断、
上海蟹の時期にだけ予約が困難な店なのですが、
この時期運良く再訪に成功しました。

<明日に続く>