第609回 ワインの諸々 その53バキュバンとグラスワイン
- Tweet
- 2005年4月10日(日)
今回もまたまたワイングッズの関係した話です。
グラスワインを提供する店によく見られるこの「バキュバン」。
皆さんもソムリエなどスタッフが、
ワインボトルを持ってキュッキュッと
おもちゃのようなポンプのシリンダーを上下させている光景を
よく見られると思います。
バキュバンは弁のついたゴムの栓と
空気を供給・排出するポンプから成り立っています。
小売ですと、セットで2千数百円、
栓だけですと1ヶ当たり300円程度のものでしょう。
ワインはご存知のように抜栓すると
時間の経過とともに味わいが変化していきます。
開いていくという、
良い意味で香りや味がよくなってくることが多いですが、
そのピークを過ぎるとどんどん劣化というか、
味わいや香りがヘタッてしまうので、
なるべく空気に触れさせず
劣化するのを防ぐために考えられたものです。
スティルワインに適用するときは、
栓をしてポンプで瓶の中の空気を吸い取ります。
確かに栓を開けるとき、「ポン」と音がしますから、
中はある程度空気が抜けているのでしょうが、
実際の味わいはどうでしょうか。
私は売り出された頃購入したことがありますが、
ほとんど使っておりません。
自宅では1本飲みきる主義なのでほとんど必要ないのですが、
安いデイリーワインの場合、
あまりの味に飲みきれない場合があります。
そんなときは料理用にまわすか、
普通のコルクで栓をして冷蔵庫でキンキンに冷やして
翌日のジュースのようにして飲みきります。
この手のワインは、バキュバンしようがしまいが、
キンキンに冷やせば、アルコール補填としてならば
翌日くらいまではなんとかごまかせるものだからです。
しかし、高額ワインやレアワイン、古酒といった
味わいを楽しむべきワインは飲み残さないことです。
バキュバンを試したことがありますが、価格も価格ですから、
おもちゃのような物で劣化のスピードは遅くなるかもしれませんが、
抜栓直後のような状態を保ち続けることは不可能でしょう。
バキュバンしても翌日ではがっかりするはずです。
「ビオンディ サンティ」というイタリアのメーカーのワインは、
抜栓して何日か経ってからでないとうまくない、
といった話を聞いいたことがありますが、
たとえ事実であってもこれは例外で、
ワインは開けたときから数時間内に飲みきるのが鉄則です。
こんなことを書くのではバキュバンは必要ないじゃないか、
となりますが、
グラスワインを提供する飲食店では
最低限劣化を緩めるということで必要であると思います。
あくまで気休め程度でしょうが。
本来、私は店ででるグラスワインに期待してはいけないと思います。
もともと安めのワインをグラス用に設定していますし、
当日抜栓したものに当たる可能性は少ないはず。
1日、まして数日経ったワインはいくらバキュバンしていても
劣化というかフラット化は避けられません。
そこで私は、グラスで提供されるワインが数種ある場合は、
ボトルを見てから判断します。
抜栓していないものがあれば
品種など好き嫌いに関係なく迷わずそれを選びますし、
すべて栓が開いている場合は、量の多いワインをなるべく頼みます。
残り少々、例えばあと1杯分、なんてワインは絶対頼みません。
何日前のだかわかったものではないからです。
ワインに限らず飲食店では当てはまることですが、
客の多い、回転のいい店にいくことが
新しいワイン、ネタにあたる可能性が高いということでしょうか。