第596回 高すぎるのではないか、最近の白・黒トリュフ

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  • 2005年3月28日(月)
数ある高級食材の中で何が一番高いのでしょうか。
鮨ではやはり鮪でしょう。
近海物ならば店の仕入れベースで、
キロ2~4万円の範囲であると思います。
中華は熊の掌とか、鹿の生殖器など色々レアなものがあります。
流通はほとんどされておらず
価格はあってないようなものでしょうから除外しますと、
和食、フレンチ、イタリアンで重量単価が高いのは、
キノコ系だと思います。

和食では「丹波のマツタケ」。
上物は店の仕入れベースでキロ10万円前後だと聞きましたが、
小売、特に百貨店などになりますと
倍以上で小売するようですからかなりの高額品です。
しかし、それよりも高いのが、
フレンチやイタリアンで使われる
「黒トリュフ」、「白トリュフ」です。

ボジョレーヌーボーには、
毎年「今年の出来は非常によい」
といった宣伝文句がついてきますが、
白トリュフに毎年ついてくる卸側の文句は
「今年も不作で値が上がってしまっている」です。
私はここのところ毎年10月から11月にかけて
「白トリュフ料理」にバローロというワインの古酒を合わせるのを
楽しみの一つにしておりますが、
ある年は「産地が洪水で供給不足」、
次の年は「日照がつづいて数がない」、
またあるときは「雨が多すぎて・・・」など
なんだかんだ理由をつけて
毎年上がっていってしまっているようです。
雨が降っても日照でもだめなら、どんな天候がいいのだ、と
日本の一般客が声を上げてもまったく効果はありません。

私が知る限り、
以前はキロ20~30万くらいだったと記憶していますが
(昔はもっと安かったでしょう)、
昨年末のシーズンでは、読者のシェフの方は、
最初業者からキロ80万くらいとふっかけられたと聞きました。
最終的には50万円前後が実質価格だったと思いますが、
それでも一欠片が100グラムとすると5万円!
50グラムでも2万5千円。異常な値付けです。
「黒トリュフ」はそんなことはないだろうと思っていたのですが、
今年「黒トリュフ」尽くし料理で有名なフレンチのシェフから、
キロ20万だと聞きました。
他の店で確認しましても上物なら
18~20万くらいとのことでしたから、これまた異常な価格です。

「黒トリュフ」は知りませんが、
「白トリュフ」は実際日本へのルートが2つくらいしかないとか。
インポーターから卸、そして納入業者を経由して料理店、
といくつもの会社が途中に介在しております。
各中間業者のマージンがどれほどのものなのか、
私にはまったくわかりませんが、
現地の出荷価格はそんなに高くはないと想像します。
私は仕事の都合上、この旬の時期に
イタリアはアルバ近辺へ行ったことがないのでわかりませんが、
知人から聞いた話では
「白トリュフ」はマルシェのようなところで
観光客でも買えるようでして、
料理店でもケチケチせずふんだんに振り掛けてくれるとか。
「黒・白トリュフ」の適正価格を実現するには、
ルートを増やして競合させ、
中間業者を少なくしてシンプルにしなければならないでしょう。
そうでなければ、
「原油価格が最高値をつけたから」、
「雨も日照もなかったから」、
「イタリア国内での消費が拡大した」、
「白トリュフは毎年エスカレするものだから」
とか色々な理由をつけて
今後もどんどん値上げてくるんではないでしょうか。

話はずれますが、昨年末の「丹波のマツタケ」は
台風など雨が多くて旬の時期が短く
和食店も商売しにくかったようです。
しかも、雨が降った後だと水気で重量がましてしまい
実質単価が上がってしまう、とある主人のボヤキを聞きました。
椎茸以外に、マツタケ、トリュフで
質の劣らない養殖物の開発を期待したいですが、
そうすると有り難味がなくなるか、
もしくは天然物がもっと高値になるかもしれません。