第566回 取材拒否をウリにする時代になった

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  • 2005年2月26日(土)
料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちに
擦り寄る料理人がかなり居る反面、
取材拒否の店も増えてきたようです。
TVで犬養さんに最敬礼しながら名刺を出した料理人、
マスヒロさんにわざわざ訪問をお願いする店など
マスコミというか、一般客、一般読者に影響力のある重鎮に
見え見えの尻尾振りをする店が、
果たして「行ってよい店」なのかどうか疑問でありますが、
反対に取材拒否の店はどうなのでしょうか。

いわゆる会員制もこの広義には取材拒否の店と言えるでしょうが、
多くはないですが私の経験から言わせていただくと、
ほとんど良い食後感をもって店を後にした覚えがありません。
何しろ、取材拒否を全面に出して、
逆に宣伝にしている店もあるくらいだからです。

雑誌やビルのパンフに載せているのに電話番号だけ載せない
「趙楊」。
これも変則的ですがこの仲間でしょうか。
「Hanako」の取材を受けているにもかかわらず、
住所を載せて電話は店の都合で載せないとの注釈。
これって立派な宣伝行為です。
雑誌で主人が上海の上流階級出身だと嫌味に掲載していた
新宿御苑近くの「シェフス」。
その雑誌ではまったく店名も住所、電話も掲載されていません。
でも店の外観や内装の写真は載せているんですね。
ちょっと調べればどこの店かわかるようにしている
高等テクニックです。
「趙楊」は料理人の勘違いで今や風前の灯火というか、
CP悪くなって客が寄り付きません。
「シェフス」もある人が絶賛する「上海蟹ミソチャーハン」も
段々質が落ちてきたように感じます。
もともとすべて高いですからCPを考えてはいけない店です。

会員制で有名なのは銀座の「壬生」でしょうか。
300名くらいと言われる会員で、
毎日3回転、毎月1回は会員が日時を指定されて通っているようで、
いわば新興宗教の会員のようでして、
その呪縛というか洗脳がとければ会員はどう判断されるか。

最近の「大人の週末」では「取材拒否」を企画化していました。
それぞれの店に突撃してレポートを載せていますが、
これって立派に店の宣伝に一役買っています。
簡単に連絡先が調べられるからです。
私も釣られて何店か行ってしまいました。
白金の「モレスク」。
業界人などで一杯の隠れ家のようですが、
分店の恵比寿「ボ・ブイユ」は
犬養さん一押しの店で雑誌出まくりです。
どうなっているのでしょうか。
本店は、首を捻る料理が連続してでてきて
予想通りの結果となりました。

「榮庵」というカウンター洋食は、
今はなき「トゥ ソル」のような素材をウリにした店。
客単価2万円近くで面白いですが、
調理方法ではいくつか疑問のものもありました。

ここの挙げたのは一部の店ですが、
「取材拒否」というスタンスが一人歩きしてしまって
逆に取材対象になり、
宣伝効果をあげる結果となってしまったようです。
人間は行きにくいとなれば余計に行きたいもの。
この宣伝手法はまだまだ使いようによっては
大きな武器になるようです。