第547回 料理も店も増やさない、OZAWA 1

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  • 2005年2月7日(月)
「衝立(屏風)と店は広げると倒れる」。
ある料亭の主人から聞いた格言です。
昨年、オープンして1年あまりしか経っていないのに、
六本木ヒルズに7店舗出店している
飲食店多店舗展開会社「ソーホーズ」が倒れ、
同じく東京、大阪などへ10店舗近く出していた
「エノテカ」がレストラン部門を売却、
「青柳」グループもピンチなのか
六本木ヒルズから3店舗すべて撤退するなど
この格言通りの展開となってきています。

飲食店に限らず、「そごう」しかり、「ダイエー」しかり、
と歴史は繰り返されているのですが、
料理人や多店舗展開会社の経営陣は楽天的なのでしょうか。
それとも学習機能を持っていないのか。
今尚、各地で支店や分店の増殖を繰り返している中、
この「OZAWA」はオープンしてから15年ほどになりますが、
マスコミへの露出も少なく分店を出す事もなく、
マイペースで営業を続けている謙虚な店の1つと言えるでしょう。

白金台駅から徒歩で5分、
プラチナ通りに面した奇抜な緑のビルの地下にあります。
バブル期のお決まり、外人デザイナーの作になるこのビルは、
お洒落な街となった白金でもいささか浮いています。
外から丸見えのヘアーサロンの横を通って
脇の入り口から地下に降りるのですが、
階段が折り返しになっていてホールが直ぐに見えず、
一見客は入りにくいでしょう。
通りを歩くフリの客を期待しない、
常連と地元客主体の東京風フレンチであります。

オープンキッチンの奔りの店だったのではないでしょうか。
今でこそホールから丸見えの厨房が珍しくなくなりましたが、
当時のフレンチでは画期的だったと記憶しています。

<明日に続く>