第539回 ワインの諸々 その46レストランの見せかけワイン
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- 2005年1月30日(日)
私の「レトワール」への再訪レポートを見て久々に訪問、
しかし非常にいやな思いをされたとのことで、
申し訳なく感じたしだいです。
ワイン好きは飲み干される前に一度は訪れるべし、と
はからずも煽った書き方になってしまったようですが、
飲み干されるも何も、
安い値付けのワインはほとんど「予約済み」と断られて
飲めなかったというのです。
確かにリストで誰でも知っている有名ワイン、
たとえばDRCなどのワインを安めにしていれば、
他の知らないワインも安いだろうと思いますし、
それを目当てに客が増えることもあるでしょう。
これをレストランの「見せかけワイン」と私は言っております。
我々のときは、頼めば出てきたのですが、
たいした本数を仕入れていなかったのでしょう。
提供できないならばリストから削除するのが料理店での良心のはず。
しかし昔からこのような「見せ掛けワイン」を載せる
セコイ店がいくつかあるのは事実です。
たまにイタリアワインバーの名店として雑誌に登場する
西麻布の「ヴィーノ デッラ パーチェ」。
ここのソムリエが素晴らしいような記述をよく見かけますが、
ここも見せかけワインがかなりありました。
昔74年のバローロの古酒があったので頼もうとしたら、
「状態がよくないのでお勧めできない」と言ってきました。
知る人ぞ知る、74年はバローロの当たり年。
悪いはずがなく、悪いならリストから除外すればいいわけで、
「悪くてもこちらのリスクだ」と粘ったところ、
ようやく「一見にはださない」といった
真の理由を引き出しました。
確かに一見には良いワインは出したくないもの。
その気持ちはわかりますがやり方が悪い。
リストに載せなければいいわけです。
どうせ知らないだろうと一見客の知識を軽くみて
誤魔化そうとしたのでしょうが、
まだ最初から正直に
「一見には出せません。何回か通ってください」
と言ってくれたほうがすっきりします。
雑誌ではなんだかんだと奇麗事を言っているようですが、
彼の本性はこんなもんでしょう。
それにしてもレトワールの三鴨氏。
その話し振りが一言多くて
ほとんどの客が気をわるくするようです。
我々のときもそうでしたが、
「ジビエを頼んだらワインを飲んでもらうのは当然だから」
「ロワイヤルに合うワインを失敗しないで選んで」
など我々も聞きましたが、
毎日この嫌味っぽい一言を繰り返しているのを知りました。
読者の方は
失敗しないようにDRCのワインを選ぼうとして断られたのですが、
「DRCはロワイヤルに合わない」、
「ワインが飲みたいならワインバーへ行けばいい」
とまで言うのはいかがなものか。
つい先日は、
「DRCとロワイヤルはよいチョイスだ」
と客に言っていたのですから、彼の性格の根幹がわかります。
私は拙著やコラムでも
「性格の悪い料理人の店にうまいものなし」と訴えてきました。
ただし例外というか、
誰しもレトワールの料理自体は認める部分があるのも事実です。
そういう意味では唯一というか希少な店なのですが、
この性格、多分もう修正するのは難しいでしょうが、
もしまともになったら、
居心地もよくなり客も入るのではないかと考えます。
集客の問題は、三鴨氏の客対応が一番の原因と思うのですが、
マダムなど身内の方もそれがわからないのか、指摘できないのか、
このままではいつまでたっても改善できないでしょう。