第533回 料理評論家、フード・レストランジャーナリストへの質問状その5コンサルタント料や取材費がないと食べていけない?

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  • 2005年1月24日(月)
私の本がはじめて出版されてからもうすぐ2年になります。
この間、ほぼ同じような時期にスタートして
継続的に担当させていただいているのは、
この邱さんのコラムと
日刊ゲンダイのコラム(3~4ヶ月が1サイクル)だけですが、
単発では週刊誌などへの特集物へのスポット寄稿や
コラム執筆がありました。
本も2冊出しましてこの間印税も入ってきまして、
形ばかりのコラムニストもどきで
副収入としていくらか入金があったのは事実です。
しかし、結論から言ってしまえば、
私が唱えるところの「まともな料理店評論」、つまり

1、店やシェフと親しくしているのを自慢しない
2、最初に店や料理人へ褒めまくりありき、ではなく
  その実態、本心、経営方針に迫る
3、森ビルなど再開発業者とアドヴァイス契約しない
4、料理店とコンサルタント契約しない
5、TVや雑誌などマスコミでやらせのヨイショコメントしない

ならば、日々の生活費を稼ぐどころか、
ネタのための店訪問の費用さえも捻り出せないことがわかりました。

執筆者のランクによって原稿料の違いはあるでしょうが、
倍も3倍も違いません。
コラムなどでしたら、400字当たり5千円から1万円くらい、
よって一つのコラムでは
よくて1万円から2万円といったところと考えます。
3万円はいかないでしょう。
印税はご存知のように著者には一般的に10%。
週刊誌はスポットだから結構羽振りがよいのでしょうか、
4ページ物で、数十万円になり驚いたこともあります。
しかしこれも毎週あるわけではありません。

何が言いたいかというと、
自称料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちの
執筆状況をよく見てみていただきたいのです。
なぜ売れているか理解に苦しむ
犬養さんと重鎮マスヒロ氏以外はあまり頻繁には見かけません。
その割に、彼らは東京最高のレストランなどを見ると
かなり食べまわっている事を自慢しています。
しかも、料理評価本は購買層が限定されているのか、
マスヒロ氏、犬養女史といったビッグネームでも
売れ行きは芳しくないようで印税はしれていると推測されます。
その他の方の本はもっと売れていないでしょう。
(拙著もですが・・・)
取り上げた店数の割に、印税収入はしれているのです。
数千部として100万円前後がせいぜいでしょうか。

私はなぜ、彼らが自慢するほど食べまくりが出来るのか、
その原資が不思議でならないのです。
私の言う「まともな料理店評論」では
本業として成り立たないはずなのです。

犬養さんやマスヒロさんのように、
マガジンハウスや講談社といった出版元とタイアップして、
雑誌で企画物を掲載する場合は、
ある程度の収入があるかもしれませんが、
そういう人はごく一部だと思います。
まして、この二人でさえ、所属会社の顔として
コンサル契約の販促の助けをして利益を追求しています。
その他のあまりパッとしない
数いるライター、ジャーナリストたちが、
執筆料だけでそう簡単に飲食代を捻出できるとは思えません。
取材費がどこからか出ているのか、
犬養さんやマスヒロ氏と同じく
コンサルやプロデュースなどの裏の仕事があるのか、
ほかにちゃんとした正業を持っているのか、
疑問は多いのですが彼らからはまたまた回答はないでしょうね。
結論としましては、
「まっとうな料理店評論では飯が食えない」が本日のお題でした。