第528回 友里征耶と客を斬る その11店に対して愛情が感じられない

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  • 2005年1月19日(水)
フード・レストランジャーナリストたちから
以前批判されたフレーズです。
このコラムのキャッチ「愛するがゆえに・・・」は
邱さんにつけていただいたので、
それまで自分が店を愛しているかどうかなんて
深く考えていませんでした。
プロ球団でも掲げられた「愛」という言葉ですが、
定義というか用途が非常に曖昧です。

妻や子供に対する「愛」と会社に対する「愛」、
これはまったく次元が異なります。
私も昔はよく
「愛社精神をもって・・・」などと訓示していましたが、
これはいわゆる経営者側、管理者側から言うところの
「忠誠心」の要求です。
本来は会社、
つまりその法人の利益や社員、顧客を一番に考えることですが、
得てしてそれだけを考えて行動してしまうと、
経営陣、オーナーの利益と反することになってしまいます。
今では誰でも批判している西武鉄道グループですが、
プリンスホテルなど客よりオーナーを優先することが、
この会社では「愛社精神」だったからです。
人や動物を愛することとは根底が違うと考えます。

そしてこの料理店への「愛」。
フード・レストランジャーナリストたちは、
友里の文章が自分たちとはまったく違った文調、
彼ら流にいえば「悪口」ととらえ、
そんな愛のない批評では店は育たない、と言っています。

では、店への愛情とは

1.ただヨイショすることなのか
2.シェフの本心とはちがう嘘見え見えのコメントを
  そのまま垂れ流して宣伝することなのか、
3.未だオープンしていない店なのに、
  お勧めとして自分の本に取り上げて宣伝することなのか
4.店とコンサルタント契約することなのか

ということならば、
確かに友里は店への愛情を持ち合わせておりません。

でも私に言わせれば、これはただの「溺愛」。
間違った方向に進みそうな子供にも、
注意や叱責をしないで見逃すだけではなく、
褒め称えて背中を押しているようなものです。
まして、料理店の経営者やシェフ、板長は子供ではありません。
若いといっても30歳前後。一般社会では立派な社会人であります。
思想や性格もかなり出来上がってしまっていますから、
日々勉強、反省する習慣のある謙虚な人でない限り、
「溺愛」だけで見守っていても
必ずしも正しい方向へ進歩や成長はしないと考えます。

コラムにも使っている身で、
棚に上げて発言するようにもなりますが、
昨今この「愛」という言葉を
あまりに気安く使いすぎているのではないでしょうか。
特に、教育や躾なども含めて、
愛=溺愛 の方程式ができてしまっているようで心配です。

友里は家で食べることに加えて、外食も大変「好き」であります。
食後感の良い店を訪れ楽しいひと時を過ごしたいという思いは、
読者の皆さんと同じように持っています。
これからも、溺愛ではなく冷静に
そしてシビアですが公平な
店へのコメントをしていきたいと考えます。