第50回 初訪問、「みかわ」(六本木ヒルズ)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2003年7月7日(月)
<事前情報>
1.本店主人の息子さんの店。でも揚げている人は
  分店を任されていた人。息子さんはサービス担当?
2.夜は2回転営業。
  17時半と19時半のどちらかを選ばされる。
3.夜のコースはご飯ものも含めて1万円。本店より高い設定。
4.結構満席になっているようだ

<感想・他>
立地条件
六本木ヒルズ、けやき坂通りの2階です。
高額店「次郎」、「厲家菜」、「パ マル」、「竹やぶ」が
同じフロアに並んでいます。
有名店を固めてより集客を狙ったのでしょう。
でも、最近、致命的な問題で指摘を受けているようです。
それはこれらの店の一角に、ペットショップがあるのです。
仔犬や関連商品の販売の他、犬のケアまで請け負っていますから、
常時犬が何匹も店内にいます。これから夏になるにつけ、
匂いなどの影響が出てくるとの指摘を結構耳にします。

外観、内装
このフロアの外装は、各店勝手にやりましたから
まったく統一感がありません。
となりの「厲家菜」がダークで重苦しいのに比べ、
「みかわ」は金色の外壁です。完全にミスマッチ。
内装も、色々親しい「先生」という方々の作が
飾られてありますが、
外壁といい果たして「天麩羅」に必要なのかどうか。
自己顕示欲が強い店主と見受けられます。
この分店に資金をかける前に、
本店をもう少し綺麗にすることが必要でしょう。

料理
店先にコース内容が明記されています。
巻えび2、兜2、アオリイカ2、キス、穴子、野菜3品、季節物、
特上貝柱天丼(天茶)で1万円。
やはり本店より高い設定です。
しかも、この店で揚げている料理人は、
評判の良くなかった「八丁堀店」をまかされていた人です。
六本木ヒルズへ出店してきた店の最大の特徴である、
「本店より劣る料理人が、本店より高い価格の料理を出す」
というお約束に、完全にハマっています。

物量的には、他の有名店である「楽亭」などに比べて、
海老の本数が少ないですね。
そして、本店でもいえることですが、
衣の焦げ目が強いと言うことです。
かなり中まで火が入っています。
「秒の勝負」と本店のオヤジは本などで自慢、
マスコミも名人と持ち上げていますが、
私は前からここの天麩羅には疑問を持っていました。
1秒の違いでこんなに焦げ目が出て火が入り過ぎるのか。
悪くはありませんが、傑出したものではない。
ただの焦げ目の強い天麩羅です。本店は店構えが街場的で小さく、
値段が安めの設定の割に、まともな天麩羅だという
意外性で注目を浴びたのでしょう。
ですから、さらに腕の落ちる
この六本木店の料理人が揚げた天麩羅は、
期待できるものではありません。
火がしっかり入った、焦げ目の強い、どこにでもある
街場の店の天麩羅になってしまっているのです。

予約を入れたカップルが「造り」を頼んでいました。
歩留まりなし、予約客だけに、白身、鮪、赤貝などを
出しているようです。
「造り」を予約していない客には出す分がないそうです。
この日は2名分でしたから、どうやって仕入れたのでしょうか。
鰈なのでしょうが、鮪といい、天麩羅ネタではありません。
そんな少量購入で、まともな質、部位が
確保できるとは思えないのです。
仲の良い「次郎」から分けてもらっているなら別ですが。

その他
息子さんは本店に詰めていたと思うのですが、
接客に慣れていない感じでした。女将だかわかりませんが、
年配の女性が仕切っておりました。カウンターは10席。
3人連れがいたので、一人でも入店できました。

<結論>
料理評論家、フードジャーナリストなど
マスコミ、そして文化人が本店を「日本一の天麩羅屋」のように
褒め称えているので批判しづらい雰囲気がありますが、
私には「ただの焦げ目の強い普通の天麩羅」にしか思えません。
勿論、六本木店は本店以下の内容です。
「みかわ」と言われず、ブラインドで食べてみて判断してください
と私は言いたい。
本店同様、期待して行くところではないし、
本店の天麩羅を食べて「日本一」と洗脳されてはいけません。
もっと他にもおいしい店があります。