第481回 次から次へと独立する理由は?
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- 2004年11月20日(土)
この1年を振り返って、
いやここ数年でもいいのですが、
いったいいくつの新しい店がオープンしてきたでしょうか。
また、何人の料理人の方が独立して店を出してきたでしょうか。
フレンチに一時の勢いを感じませんが、
イタリアン、和食、そして鮨屋と
かなりの新店が登場してきました。
青柳関連では、ご自身はピンチのようですが、
小山氏のお弟子さん3人はそれぞれ独立して
いまのところ成功しているように見受けられます。
鮨屋も30代主人が流行のキーワードのごとく、
若い職人がどんどん独立しています。イタリアンしかり。
しかし、ちょっと前までは、
何十年も店で修業して、中年過ぎてから
やっと夢であった自分の店をだせるようになる、
というストーリーが当たり前だったはずです。
それが、10年あるかないかの修業歴で
いとも簡単に独立してくる理由はなんなのでしょうか。
一番の理由は、
マスコミの後押しによって、
鉄人シェフなどに代表されるスター性の確立によって
料理人が注目され、
ポジションがかなり上がったことが考えられます。
文化人かのような人まででてきましたが、
花形料理人になると高収入がありそうで
憧れの職業になって志望者が激増したのではないかと。
そして、そのスターを育てたい、援助したいという
タニマチ的考えのスポンサーが増えてきたことも
無縁ではないと考えます。
一見オーナーシェフの店に見えるような規模ならば、
「ナリサワ」のように億単位の出資はかかりません。
実は料理店に出資している、
ということがステータスになってきたようです。
若い料理人も師匠や有名料理人の日の当たる面を見て、
流行ればかなり利益を挙げられる、マスコミから持て囃される、
文化人のごとく
色々なイヴェントやプロデュースにもかかわることが出来る、
人脈も形成することができる、
など魅力を感じるのでしょう。
ずっと2番手、3番手に甘んじることなく
スポンサーなどを見つけて独立してくるこの業界は、
いま世代交代に差し掛かっているのかもしれません。
競争が激しくなるということは、
我々一般客にとって望ましいことでもあります。
でも今30歳でも10年後、20年後には40、50歳。
60歳で引退するにしても30年はがんばらないといけません。
10年、20年、30年と
長期間店を維持していくには大変なことでしょう。
若くして一国一城の主になったが、
長続きしなかった、未だ若くして燃え尽きてしまった、
とならないよう、
独立を考えている料理人は相当の覚悟が必要だと考えます。