第480回 友里征耶と客を斬る その4質を考えずに高級食材を出すだけで評価していいのか

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  • 2004年11月19日(金)
マツタケ、キャビア、トリュフ、鮑、スッポンなど
和、洋のジャンルを超えて
これら高級食材は色々な店で使用されています。
最近友里が不思議に思うのが、
たいした料理でもないのに人気がある和食屋です。
凡庸な出汁、上質でない食材などを使って、
1万円前後の夜コース、数千円の昼弁当で
銀座近辺に集中していますが、連日女性客を主体に満席です。

なぜに流行っているのか。
これらの店の共通点は、
上記のような高級食材といわれているものを使い、
盛り付けの見映えのよさでしょう。
しかし、同じ食材でも質、つまり価格はピンきりです。
何も香りがしないトリュフ、食感の悪い味わいのない鮑、
しょっぱいだけのキャビアなど、
ただ入れてあればいいというものではないはずです。
以前中国産の黒トリュフを都内のスーパーで見かけました。
1ケ数百円だったと記憶していますし、
どこの産だかわかりませんが
マツタケも100円鮨のお椀にも出る時代です。
鮑にしてもキャビアにしてもしかり。
要は高級といわれている食材を見ただけで喜ぶのではなく、
客は味わいがどうかを評価するべきと考えます。

高額料亭のように超一級の質が必要なのではありません。
しかし、和食とはいえ1万円を超えるコース価格は大金です。
その価格の中で、そこそこ充分満足な食材と
出汁などしっかりした料理を提供している店もあるのですが、
たいていの店は
見かけだけで客を洗脳しているとしか思えないのです。

料理は盛り付けなど見た目も重要な要素ではありますが、
基本は価格に見合うだけの質の食材と腕を使った料理の提供です。
ランチがかなり人気の店、
フード・レストランジャーナリストたちのお勧めで来た
女性客の多い店、ハナコなどガイド雑誌常連の店などに
この傾向がよく見られます。
特に雑誌やフード・レストランジャーナリストたちが、
質を考えずこの高級食材の有無だけで
キャーキャーいっている場面をみます。
我々一般客としては、
上辺ではなく、じっくり食材の質を見極める、
経験をつむ、目(舌)を養うことにより、
店側にフィードバックをかけて
CPの良い料理にめぐり合いたいものです。

私も素人の一人ですが、
フード・レストランジャーナリストと名乗っている人たちも
数の経験は素人より多いでしょうが、
中身は素人と変わらない人ばかり。
何でも鵜呑みにしないことが重要です。


- 追記 -

昨日のコラムで読者の方からご指摘をうけました。
「トレフ ミヤモト」の
テレ朝通りの店がクローズしたのは事実ですが、
六本木に移転していただけだとのこと、
その後を調べておりませんでした。
読みようによっては、店じまいにとれる表記ですので、
ここに訂正させていただきます。
ご指摘をいただいた読者の方には御礼申し上げます。

読者の方のお話では、今まではロケーションが悪かったので
移転したとのことでした。
つまり集客という点では苦労していたということでしょうか。
しかし、交詢ビルや
六本木ヒルズけやき坂通りの店ではありませんが、
場所さえよければ客が来るという時代ではなくなってきています。
宮本さんには移転を機会に、客側にたった
CPの良い店にして繁盛していただくことを期待しております。