第479回 なぜ銀座へ進出したがるのか

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  • 2004年11月18日(木)
最近友里が注目している交詢ビル。
そこへ出店している飲食店の中には、
銀座という名前に惹かれて乗り込んできた店もかなりあります。
「たらふくまんま」のオーナーは
銀座へ出店するのが夢だったと週刊誌に語っていました。
「赤坂 離宮」も、
銀座のクラブへ行く前の客を狙っているとか。
でも、中華に同伴カップルという構図は、
私にはイメージできません。

そしてあの有名店も年末年始に銀座へ移転してきます。
「さわ田」は11月下旬、
「次郎 よこはま店」は来年1月には営業開始とのこと。

なぜ料理人は銀座に出たがるのでしょうか。
銀座に店を出している、銀座で成功して初めて認められる、
といった見栄が一番の理由ではないかと私は考えます。
結構料理人たちは見栄っ張りですからね。

しかし、誰でも高い家賃や保証金を支払って
バラ色の将来を享受することが出来るものなのか。
私はあるフレンチオーナーを思い出しました。
今でこそ宮本氏という料理人の名前は知られていませんが、
西麻布で「クリニャンクール」や
ワインバーの店を出しているときは
結構その道では知られておりました。
しかし、何を思ったか
銀座で勝負と移転したまではよかったのですが、
パートナーとの内輪もめで1年経たず彼は撤退。
その後再びテレ朝通りに
「トレフ ミヤモト」をオープンしましたが、
彼のモチベーションは続かなかったようです。
オープン直後訪問しましたが、
21時には既にシェフの姿は厨房どころか店内にありませんでした。
以来、客が入っていないので大丈夫かと思っていたのですが、
つい最近クローズしてしまったようです。
銀座へ無理に進出しなければ
また別の展開になっていたでしょう。

要は場所ではなく、店側としては
本来お客が沢山毎日来てもらえればいいだけのはずです。
現に立地の悪い店でも連日満席の店があります。
立地が悪いからこそ逆に下駄を履いてしまって
評価が甘くなって人気を得ている店も多い。
それが、競争の激しい銀座で
他店に埋没せず生き続けられるかどうか。
安易に、同伴客など経費族を当てにしているだけでは
難しいのではないでしょうか。
現に、離宮は400平米を超える大箱ですが、
外から見えるホールは連日ガラガラです。

「次郎 よこはま店」は店名をどうするのか。
あの価格形態を保つならば、銀座の地代を考慮しても、
「すきやばし 次郎」よりかなり安く提供できそうです。
本店、分店とおなじレベルの鮨ですから、
客は水谷氏の方へ流れてしまうと単純に考えますが、
二郎さんはこの移転をどう考えたのか興味があります。
また、「さわ田」のスタイルが銀座に合うものなのか。
真っ黒の熟成した鮪を
同伴のホステスが受け入れるとは思えません。
中野坂上でも2万5千円前後。
クオリティーを落とさないならば、
銀座店では3万円は請求するようになると推測します。
まさか、トイレを外へ別置きするわけには
銀座ではいかないでしょうから、
今までは支払っていなかったスペースにも家賃がかかります。
見栄を張るためスタッフを雇うようなことになればなお更です。

銀座を夢見るのはいいですが、
今までが近辺に有力なライバル店がなかっただけのこと。
こんなはずではなかった、とならなければいいのですが。