第458回 銀座の1万円台和食のなかでお勧め、小十 2
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- 2004年10月28日(木)
私はどうせ同じようなレベルの和食と期待せず訪問したのですが
食後感は異なりました。
この店はマスコミのキャッチと強気の値付けで
いくらか損をしています。
徳島の料亭「青柳」で修業したと雑誌に取り上げられた主人。
多店舗展開のしすぎで
集客に苦労しているグループ関連となるとイメージは悪い。
1万3千円と1万8千円の2コース制も、
1万円、1万5千円が
最近のこの手の和食コースのお決まりですから、
3千円ほど高いコース設定です。
しかも昼の営業をしていません。
残った食材の有効利用が出来ず、
ランチで押しかけてくる女性客の口コミを期待できないのです。
「小十」は銀座日航ホテルの裏、小さなビルの1階にあります。
明るめの照明の中、
6席のカウンターと奥には個室があるようですが、
規模を抑え目にしています。
食材のレベルが他の1万円台和食とは違います。
手をかけた料理も多く、
見た目だけのパフォーマンスではありません。
造りは出身の「青柳」と違い、
年中「鯛」ではなく、夏の時期は替わりに鰈を使っていました。
出汁もしっかりしており、
お椀も焚き合せもこの価格帯を考えれば満足できる本格志向で、
奇を衒った創作系ではない、
創意工夫が随所に見られ量も充分なお任せです。
何回か訪問しましたが、
味の濃い胡麻ダレで食材の質をごまかす
「鯛茶」には出会わないのも良かった。
最初は1万3千円コースで充分でしょう。
5千円の差は、鮑やトロといった食材、部位の違いと
焼き物で区別をしているようです。
また、私はこの店で初めて、
天然鰻でおいしいと思うものに出会いました。
直焼ですが、尾花、野田岩、前川など
鰻専門店よりおいしいと感じたのは
食材の質と技法の違いなのでしょうか。
銀座でちょっと豪華に和食をと考える方には、
ランチの女性客で荒れた人気店ではなく、
この本物志向の「小十」をお勧めします。
人気が出たからといって、
1万3千円コースをやめる暴挙にでないことを祈るばかりです。
<結論>
他の同価格帯の銀座和食と比べると出色ともいえる店。
クオリティを維持するためか
小規模な店にしているのもまっとうと考えます。
とにかく一回は行ってみるべし。