第44回 スーシェフを引き抜いて新規開店した店にうまいものなし
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- 2003年7月1日(火)
どこそこ(結構人気、有名なオーナーシェフの店)の
スーシェフ(2番手のシェフ)を引き抜いてシェフに据える、
という自慢話を聞くことがあります。
でも、たいてい期待して出かけてみても
帰路には落胆しか残らないのはなぜでしょうか。
本来ならば、新規の店のオーナーは
実績のある店の現役のシェフを引っ張ってきたいものです。
でも、繁盛店や大店でシェフを張っていた人は、
スポンサーを見つけて独立する野望を持っている場合が多く、
また仮に引っ張れるとしても条件的には高くついてしまいます。
その点、こき使われていた2番手のスーシェフは、
トップに立ちたいでしょうし、
独立の際にスポンサーを見つけるためにも
一度は雇われシェフを経験したいものです。
少々条件が悪くてもシェフとしての経験が積めるので
オーナーの誘いに乗ってくるでしょう。
でも、今までいた人気店、繁盛店は
オーナーシェフの裁量によってその名声を保っていたのです。
シェフが勘違いして、人脈造り、講演活動などで
厨房に不在が多く、実質まかされていたスーシェフなら別ですが、
たいていはいつも指示されていた立場から、
急に厨房内を仕切って指導力を発揮できるとは限らないのです。
そのような実力のある、厨房を任せられるようなスーシェフは
なかなかオーナーシェフが手放しません。
つまり、いくら傍らでシェフの料理造りを見、
レシピを覚えていても、自分のアイデアの料理を生み出すことや、
食材の仕入れを考え、厨房内を統率して
おいしい料理をタイミングよく提供することには
未経験の場合が多いのです。
結果、開店直後の店では、「有名店のスー」だったのに
おいしくなかった、となってしまうのです。