第45回 鰻の柔らかさに疑問はありませんか
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- 2003年7月2日(水)
例えば「野田岩」、「尾花」などの
鰻の柔らかすぎることに疑問を持っています。
「蒲焼」とは名ばかりで「蒲蒸し」に感じてしまいます。
料理名のとおり、焼き物とはとても思えないのです。
フワフワしすぎて食感がまったくありません。
よくフードジャーナリストなどが
「口の中で溶けていくようでおいしい」といった
表現をしているのを目にします。
でも、本当にフワフワでおいしいのかと。
「重」にした場合はご飯で多少蒸れてしまうでしょうが、
基本は「焼物」のはずです。余分な脂を落とすために、
さばいてからちょっと素焼きして蒸しますが、
「焼き」よりも「蒸し」が強く感じてよいとは思えません。
過度の脂を落とすため
蒸しを強くしなければならないというならば、
それは養殖ものなのでしょうか。
それとも身が締まっていない鰻なのでしょうか。
「焼き魚」の範疇で、しかも川魚としての香りや食感を楽しむなら
不必要な「蒸し」はかえって邪魔になるだけです。
料理評論家、フードジャーナリストが推奨している店はたいてい、
この蒸し過ぎというか柔らかすぎの鰻屋が多いのですが、
これらの店とは違った食感の鰻を出す店もあるのです。
広尾の「田丸」。街場の店の典型のような店構えですが、
蒸してはいても焼き魚のような香ばしさがあり、
腰のないフワフワ感はありません。タレも甘めではない。
新宿の「勝三」も同じく街場の店ですが、
小さめな鰻で食感はプリプリです。
柔らかすぎる鰻の店が全盛のようですが、
一度、プリプリ感、香ばしさのある鰻も食べてみて
比べていただくのもいいのではないでしょうか。