第431回 新規プロジェクトは目白押し!

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  • 2004年10月1日(金)
10月にオープンする「交詢ビル」の情報をネットで検索していた時、
そのプロデュースをした三井不動産のHPにたどり着きました。
銀座の再開発で注目を集めた
この「交詢社建て直しプロジェクト」も
三井不動産がやっていたのかと感心し、
また、新規プロジェクトなるものを見て驚いたのです。

日本橋1丁目ビルディング(コレド日本橋か?)、
虎ノ門琴平タワー(2004年11月竣工)、
オーバルコート大崎マークイースト(2004年12月)、
(仮称)室町三井新館(2005年9月)、
(仮称)銀座8丁目プロジェクト(2005年10月)、
(仮称)NBFプラチナタワー(2005年11月)、
(仮称)東京ミッドタウンプロジェクト(2006年12月)と
一つのデベロッパーでさえ
ここ数年で6つの大型再開発ビルを仕立ててきます。
三菱地所や森ビルをいれたら、その数はいかほどになるのか。

しかしちょっと待ってください。
テナントである会社、ショップやレストランを訪れる客、
ホテルに泊まる宿泊客はそんなに増えるのでしょうか。
このコラムで何回も述べていますが、
あの閑散とした六本木ヒルズのけやき坂通りを見てみてください。
特に、「次郎」など高額料理店が集中しているフロアは、
ディナー時どころか、ランチ時でもほとんど人影を見ません。
外から店内が見えてしまう店造りをしてしまったため、
友里に頻繁に取り上げられてしまう「パ マル」。
給料日後の週末のディナー時で3組、
月始めの水曜でしたがランチ時で2組、
3連休の始まりである土曜日の夜で2組しか客を確認できません。
押すな押すなの満席も何ですが、
ぽつんと数組の寂しいホールでは食欲もすすまないでしょう。
オープン当初押しかけていた客というものは移り気なものです。
地代など固定費がかかるため、CPの良い料理を出す事が難しく
固定客を掴みそこなったようですが、
他の店、例えば「みかわ」も「竹やぶ」、「次郎」、「厲家菜」も
同じように苦戦しているでしょう。
特に客単価が低い「竹やぶ」は苦しいと推測します。
「みかわ」は何とランチで2100円定食を打ち出していました。
今までのランチ価格の半額です。
揚げ手が独立してしまったことも加えてかなり厳しいようです。

デベロッパーサイドは、
出店を要請する時はなんだかんだとおいしい事をプレゼンし、
入店させてしまえばもう終わりなのでしょうか。
もともと立地やコンセプトに問題があると
私が予想したけやき坂通りの店に対して、
今のところ森ビル側のフォローは見られません。
本店が有名、人気店で、
カリスマ料理人たちはプライドが高いですから、
そうそう赤字が続いても撤退しないと
たかをくくっているのかもしれません。
しかし、こうも新規プロジェクトを造りつづけ、
しかも、テナントを甘い誘い水で口説き落とし、
高い地代を徴収する営業姿勢は許されるのでしょうか。
話が違う、と泣いている店主も多いのではないでしょうか。
個人経営の店になるほどダメージの回復は難しくなってきます。
決断したのは店主ですから
自己責任といってしまえばそれまでですが、
誘致したデベロッパー側が、
その先次々と新規再開発ビルを造りつづけるという事は、
その店の客を奪いさることに直結します。
極端に言えば、背信行為のようなものではないかと考えます。
製品を大量に売って在庫させ代金を回収した後、
新製品をライバルに大量に売りさばいて
又利益を上げているようなものです。
「パ マル」を誘った森ビル関係者は
すすんで自腹で通い続ける義務があるのではないでしょうか。
高橋さんもあのお年になって
これほどの苦境に陥るのは大変厳しいと想像します。
しかし、あくまで自腹ですよ。
森ビルの経費で行くと、
それがまたテナント料のアップに繋がるかもしれませんから。(笑)

森ビル幹部のほか、三菱地所幹部、三井不動産幹部も
けやき坂通りの高額飲食店フロアを視察してみるべきだと考えます。
それでも何も感じないんでしょうね。