第376回 スタミナ苑
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- 2004年7月25日(日)
遠方から訪ねてくる客の多い焼肉店があるのでしょうか。
亡くなった元首相が
現役時代に食べに行ったことでブレイクしたとの噂もありますが、
ネットでも絶賛の鹿浜にある焼肉店であります。
最寄り駅は南北線の王子神谷駅でしょうか。
それでもタクシーで1000円前後かかります。
一応、商店街の一店で、近くには居酒屋や中華がありますが、
行列ができているのはこの店だけです。
中華などまったく客が入っていません。
すべての席を満席にせず、
つまり適度に入店調整をして行列を維持している営業は頭脳的です。
前客が店を出てセッティングを終えたテーブルへ
すぐさま客を座らせません。
3~4組分の空きテーブルが揃ってから
一気に客を誘導するのですから、行列が出来るはずです。
行列店のお約束の手法の一つと言えるでしょう。
私は30分以上並びながら考えました。
この行列を他店はそのまま見過ごしていいのだろうかと。
既に焼肉モードに切り替わっている客は、
今更空いているからといって中華へは流れないでしょう。
この行列に並ぶのを嫌う客を拾うには、
中華の看板を降ろして焼肉店にするのはどうだろうか。
店名も似たようなものを掲げれば、
痺れを切らした客を何組か拾えるのではないかと考えながら、
時間を潰した次第です。
店内は一昔前の焼肉店そのまま。
無煙ロースターではなく、網というより溝を切った板を使い、
水を張った焼器を見ると、
何十年も前、学生時代にトリップしたかのような錯覚に陥りました。
空調設備もなく、窓は開けっ放しで、
まったく設備投資していない営業方針。
煙は出放題で、壁などは真っ黒く変色しています。
今現在、
これほど設備が汚く老朽化している焼肉店が存在しているとは、
しかも連日盛況であるとは、
日本の焼肉好きは寛容な人種と考えます。
確かに内臓はうまい。
誰もが頼む「ミックスホルモン」は
その回転率でフレッシュさが保てる訳です。
カルビやタン、ハラミ自体の肉質はより上の店があると思いますが、
価格を考えた場合は納得でしょうか。
スタッフのバイト代以外、
固定費がそんなにかかっていないのですから当たり前ですけど。
煙で自分自身が燻製になりながら、
かなりの量を飲食して一人当たり6~7千円。
スープやご飯物以外のメニューがなく、
つまりチゲや刺身系がありません。
結果はCP感をそれほど感じないものでした。
<結論>
最寄り駅からタクシー往復で2千円前後。
そしてスーツのクリーニング代(匂いが落ちないので)を考えると、
鹿浜までわざわざ行くだけの価値があっただろうか。
都内のエアコンの効いた、煙のでないオシャレな店でも
トータル支出と満足感は変わらないと考えます。
ホルモンだけの魅力では、リピートはつらい。