第367回 まともな河豚ならこの価格、ふぐ福治 2

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  • 2004年7月16日(金)
お通しにでてきた黒豆の甘さが
後のふぐ刺しの味わいに影響するのではないかと私は疑問ですが、
煮こごりは「小やなぎ」とはまったく違った上品なもので、
「さしみ」への影響を与えません。
ここは黒豆を我慢するか、
食べるならアルコールで充分に口中を洗うことが必要です。

さて肝心のフグ。
刺身はやはり高額店のお約束というのか
透けて見える厚さではなく、食感も充分よいやや厚めのもの。
何故か最初は感じにくかったフグの旨み、滋味が
食べていくほどに感じるようになってきます。
「天然」とはこういうものだ、と誰でも感じ取れると考えます。

白子もプリプリでしっかりしたもの。
しかし出たての育っていない固いものとは違います。
勿論、「小やなぎ」と違い、塩をふって焼いているものです。
から揚げは予想通り量が少ない。
中落ちの部分でしょうか、
骨をしゃぶりながら食べるという本来のもので、
やはり「小やなぎ」とは違います。

ちりも充分な味わいがあるので満足はするのですが、
鍋の中身、下仁田ネギをはじめ野菜のほか、
数片のフグをみるとこれが一人前1万円かと
あらためてため息がでてきます。
ここまでの価格を出さなければ、
東京では本来の味わいの天然フグは食べられないのでしょうか。

ヒレ酒が1200円、注ぎ酒が600円と
そう驚く値付けではありませんでしたが、
冷酒は1合2000円くらいのものからしかなく、
もっと安いものを飲みたかった。

豊後水道ものを現地で解体して入荷しているという白虎フグ。
刺身に若干の技量の差がでるかもしれませんが、
フグ屋の評判は
フグそのものの質と値付けで決まってしまうようですから、
非常にわかりやすい業界です。

<結論>
安いコースに単品を追加して一人3万5千円前後。
やはり、まともな天然フグを食べるには
このくらいの出費は覚悟しなければならないのか。
何回もリピートしたい味わいですが、
価格を考えると旬に一回が限界です。
マダムも珍しくハキハキした人で、
アルバイトと思われる女性陣も「お姉さん」ではなく若い方。
中年以降の方にはお勧めです。
「小やなぎ」へ行くのを2回我慢すればいける価格。
皆さん、どちらを選ぶかは明白ですね。