第362回 ワインの諸々 その25行ってきました、デック ファイヴ
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- 2004年7月11日(日)
私がそのシステムに疑問を投げかけた、
窒素封入、ボトルまっさかさま保存のワインバーであります。
まっさかさまにしたら、澱が舞うではないか、
若いグランヴァンなどグラスでも飲みたくない、といった手前上、
一度は検証しなければと思っていたのですが、
食事をしたあと飲み直しでバーを訪れる習慣のない私にとって、
なかなかチャンスはありませんでした。
青山のとある鮨屋を訪問した後、
かなり時間が余っていたので同伴者を無理に誘って突入しました。
1階、2階に分かれているようですが、
我々はバー主体の1階のカウンターへ。
ここで目の前に広がる光景に私は驚きました。
カウンター内には、
所狭しとワインのボトルが逆さまに配列されています。
その数なんと250種とか。
圧倒される異様な空間。趣味的にも良くないと考えます。
すべてがグラス売り対象なようで、リストを見るだけでも大変です。
ざっと見渡したところ、日常的なワインから
ボルドー一級やペトリュスなど高額ワインまで、網羅してあります。
常時250種という回転率の悪さが予想されるからか、
グラス当たりの価格は、
小売価格を考えるとかなり割高に感じました。
そして一番の疑問だった澱の問題をスタッフに確認しました。
スタッフの説明によりますと、
澱を除去する為に逆さまにしたまま暫く放置。
瓶口に澱が溜まったと推定する段階で、
特殊な機械で抜栓する際、
澱も除去するとのことでした。
逆さまにして澱を瓶口に集めて除去する手法は、
シャンパーニュのデゴルジュマンと同じ発想です。
一瞬なるほどと思いましたが、
よく考えてみるとこれにも無理があるようです。
この店のHPでは、抜栓時、ボトルは上向になっていますし、
澱の除去の事は触れられておりません。
仮に逆さまで抜栓して
どうやって澱だけを空気に触れず瓶外へ排出できるのでしょうか。
シャンパーニュでは、まず澱を瓶口に集める為に
ルミアージュといって、瓶を斜めにさかさまにして回転させます。
いわゆる動瓶というのですが、
ただ逆さまにしているだけではうまく澱はたまらないようです。
そして一番の問題は、澱除去です。
シャンパーニュでは、マイナス20度くらいに瓶口だけを冷やして
澱部分を凍らせることによって除去するのですが、
この装置にはそのような機能はないようです。
HPでは逆さまにしていないで抜栓する写真を載せています。
はたして本当に澱を除去できるのか疑問なのです。
六本木ヒルズの「バッサネッラ」というイタリアンでは、
ボトルを立てたままサーブできる
ワインセーバーを採用しています。
同じく窒素封入で酸化を防止しているようですが、
これならば澱の問題はでないかもしれません。
プリペイド式のカードを採用した
セルフサービスでのワインディスペンサー方式、
同じく値付けはかなり高いですが、合理的でもある、と
ある意味感心しました。