第341回 ハードルを下げてきている店は・・・

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  • 2004年6月20日(日)
商品やサービスの買い手は大きく分けて2つあると思います。
それは法人相手と一般消費者の2つに分類されると思います。
前者はここ10年で今迄の価値観が180度変わってしまいました。
よほど独自性があるものでないかぎり、
機能を満足していれば、最低限の品質でも
価格が安いものしか売れなくなってきています。

反面、後者の買い手はまだまだ余裕がります。
機能を満足するだけでいいならば、
原価率がかなり低い50万円のブランドバッグが
予約待ちになることはないはずです。
子供服が大人の服より高くて売れるはずがありません。
健康食品関係の経営者が、高額納税者に多数出るわけがありません。
料理店といったサービス業もそうですが、
高いか、かなり安いか、の極端な営業戦略が功を奏しているのが、
一般消費者相手の商売だと思います。

つまり、ブランドイメージを大事にしてカリスマ性を保ち、
売上げを持続するには過剰生産や値下げはご法度なのです。
店内に空席が目立つのに、入り口は長い行列、といった
飲食店をみなさんご存知のはずです。
高いから訳わからず買う、
並ぶから、予約が取り難いから行ってみたい、
というのが消費者の心理といえます。
商品が売れなかった店が、
価格を倍にしたら目茶売れしたといった
笑い話も聞いたことがあります。

ところが、この理屈がわかっていながら
ハードルを下げてくる料理店をいくつか最近目にしました。
それだけ逼迫した状況に追い込まれているのかどうかは
当事者でないのでわかりませんが、何か理由があるはずです。

六本木ヒルズの店でいえば、
例えば「ラトリエ ドゥ ジョエル ロブション」。
オープン時は昼、夜とも2回転フル操業で賑わっていましたが、
予約を受け付けなかった。
ところがいつの間にか、昼、夜とも
オープン時は予約を受けるようになったのです。
押すな押すなと客が詰め掛けていたら、
このような予約制を導入すると余計混乱するはずです。
また、この店は昼も夜も同じアラカルト、
コースメニューで押し通していたのですが、
いつの間にか6000円コースのほかに、
ランチ用コースとして2900円が登場していました。
当初は昼でも皆、頼みやすい6000円コースを頼んでいましたから、
そのままの勢いなら、
わざわざ売上げを落とすような
廉価なコース設定をしてくるはずがありません。

躓いたソーホーズ経営の「厲家菜」も
いつの間にかランチも営業する曜日を設定し、
また、当初は6名以上としていた人数制限を4名に下げていました。
以前、このようなことはブランドイメージが低下すると
指摘していたのですが・・・

一般消費者向けは一発当たると大きいですが、
そのブランドイメージをいかに存続させるか、
むやみにハードルを下げることが良いこととは思えません。