第334回 ワインの諸々 その23正規インポーター経由以外のワインは避けるべきなのか

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  • 2004年6月13日(日)
知人から、正規インポーターを通さないワインについて
説明不足の感があると指摘されました。
巷ではそれらを「平行輸入」とひとまとめにして呼んで、
粗悪なワインのイメージであるかのように
受け取っている人もいるとのことでした。

確かに並行輸入と言ってしまうと良いイメージはありません。
車などでは、安く手に入るがアフターケアが不安。
高級バッグは逆に正規の輸入品の倍くらいの価格設定ですが
すぐ入手できる。
つまりメリットとデメリットが存在します。

ではワインはどうでしょうか。
フランスなどからも直接購入している量販店のなかには、
現地の量販店の店先で山積されているような保管レベルのワインを
大量に安く仕入れていると、
ボルドーを訪れた際、案内人は言っておりました。
確かにそのようなワインの状態に期待は出来ないかもしれません。
またあるワインの正規代理店は量販店も兼ねているのですが、
扱っているワインの保管状態に疑問があるというのは、
昔からよく言われていました。

一般に正規代理店というとメジャーな会社なので安心
といったイメージがあるかもしれませんが、
今ほどブームでない一昔前は、
街場の小さな店が正規代理店だったこともあるのです。
確か、今はカリスマ的な存在になってしまい
リリース品でさえ何万円という値段がつく
ブルゴーニュの造り手「コント ラフォン」。
生産本数が少ないが人気が高いシャンパーニュの「サロン」。
いずれも神奈川県の客一人一人に対面販売を特徴とする
小さな酒店が日本に初めて紹介して、
正規代理店に一時期なっておりました。
次第に人気がでてきて、
メーカーが販売力など利益を優先して、
メジャーな他の会社や自分の関連会社に窓口を変えるのは、
ポルシェなど外車の場合と同じです。

何が言いたいかといいますと、
会社規模が大きければよい、正規代理店をやっていればよい、
というのではなく、
要は輸入してくるワイン自体がまともで、
日本までの輸送や日本での保管が
しっかりしていれば良いだけなのです。

特にノンヴィンのシャンパーニュのような
1本数千円もしないような大量生産のワインは、
現地で寝かせるなど無駄なことをするはずがありません。
ノンヴィンシャンパーニュは早く飲むに限るもので、
中途半端に数年寝かしても価値が上がる物ではないからです。
投資した資金が眠るような事は営利企業ではしないでしょう。

都内の多くの有名レストランに卸している
小さなインポーターを知っていますが、
ワインの正規代理店ではありません。
状態の悪いワインを取り扱っていたら、
事業を今のように伸ばしていないはずです。
この会社は、現地のマーチャントなどから古酒も含めて
多くのビッグネームのワインを持ってくるのを特徴としていますが、
逆に各有名ワインの正規インポーターは、
古酒をほとんど扱っておりません。
リリースしたてのワインを売り切る事を優先しているからです。

一つの例として、
クリュッグという熱狂的なファンが多い
高級シャンパーニュがあります。
ノンヴィンでも定価は15000円くらいですが、
正規ルートでないインポーターから、
私のような個人でも
交渉次第で8000円以下で購入した経験があります。
結構地方で飲食店相手に手広く商売しているインポーターでしたが、
実際の現地での購入レベルは
8000円よりはるかに安いということです。
輸送や関税手続き、保管費用、
そして利益がこの8000円には含まれているからです。
偶然知人からいただいたクリュッグも
(つまり東京のショップで購入したもの)
同じインポーターでしたが、どちらも状態は良いものでした。

業者によって品質は異なるのですが、
見極めることが出来るならば、
正規ルート以外の業者は、
価格面を含めて非常に使い勝手がよいはずです。