第332回 ロブションがサロン ドゥ テ を
- Tweet
- 2004年6月11日(金)
「フォーシーズ」がまたまたやってくれました。
まったく情報を入手していなかったのですが、
日本橋高島屋のリニューアルグランドオープンに行き、
見つけたのです。
売り場には欧米の色々なブランドショップが出店しています。
誰でも知っているビッグネームだけではなく、
知る人ぞ知る、といった名店やデザイナーブランドで
かなり華やいできました。
飲食店にもこだわったのでしょうか、
レストランガイドも別冊で用意してある中、
特別待遇されているのが
タイユヴァンのワインブティック(ショップ)と、
ロブション銘柄の「サロン ドゥ テ」です。
しかし、ロブションは新しいフレンチの方向性を考えて、
次郎のカウンター幅を真似し、料理を客の前から出し、
ダイニング系と見間違うばかりの赤と黒の内装、
黒いコックコート、などを取り入れたはずです。
それが新しい「サロン ドゥ テ」にまで、
同じコンセプトで進出してくるとは。
しかもこの店には、カウンターはごく一部で、
大半はテーブル席です。
黒づくめの男性スタッフ、赤シャツに黒パンツの女性スタッフ、
菓子やテは客の前からは出せません。
宣伝文句とは別に、六本木ヒルズのカウンターフレンチも、
実は奇を衒っただけで
深い意味がないダイニングと判断するのは私だけでしょうか。
サンドイッチ、サラダ、スープ、タルティーヌ、菓子を
1~2千円前後で出す「サロン ドゥ テ」。
タルティーヌと言っても
アスパラがのっているピザトーストのようなもので、
名前と実物が一致しません。
姉妹店である「ピザーラ」のノウハウを応用したのでしょうか。
ラッキーというのか、
巡り合わせが良いというのか、
妻と着席して料理を待っていたら、
ロブション本人が取り巻きを連れて入店してきました。
前身黒づくめにサングラス。柔道着のような上着も真っ黒です。
売れないハリウッド俳優といった風貌に
思わず笑ってしまいました。
金髪パティシエの辻口氏ではないですが、
ロブションも舞い上がり、勘違いをしてしまったと感じました。
ガラス張りの厨房へ入り、スタッフたちと一言二言。
激励しているのでしょうか。
あとは、カウンター前で
店内の装飾などの説明を受けていたようで、
果たしてオープン前に何回監修と称して訪れたのか
疑問な点でもあります。
ロブションを見て、誰なのか質問する隣客。
「ロブション」という名自体を知らない客に、
「フランスでは有名、最高峰の料理人」
と説明している女性スタッフを見て、
コンセプトと客層のアンバランスを感じました。
私はここで考えました。
六本木ヒルズの店もそうですが、入店している客で、
以前にロブションの店で食べた経験のある人がどれほどいるのか。
ロブションの料理を知らない客に、
これが一世を風靡したロブション料理だ、
と思いこませるのはいかがなものか。
結局、ロブション自身の名声が傷つくことになると考えます。
ピザーラはピッツァ サルヴァトーレ クオモの
宅配ピッツァの今後の展開に脅威を抱いていないのでしょうか。
親会社のフォーシーズもロブションを担いで
この2店を悠長にやっている余裕はないのではと
心配してしまいます。