第3回 お店のコンセプトと食後の満足感

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2003年5月21日(水)
豪華な内装、高級食材を使ったおいしい料理、
心地よいサービス、おいしいワイン、そして支払額もとても安い。
このように、すべての理想の条件を満たしている
お店は存在しません。
費用対効果を考えて、どこかで価格との折り合いをつけた
コンセプトで料理店は計画されます。

1、店構えや内装をシンプルに押さえ、大幅な利益を上乗せず、
適度な食材だけど手間暇かけて造りお客に安く提供する店。
2、店構えや内装を豪華にして、厨房やホールのスタッフも
充分雇い、最高の食材をつかって手間暇かけて
客に提供する代わりにそれに見合った高額の請求をする店。

仮にこの両店ともに食後に満足感を持ったとしても、
前者と後者の店で感じる「おいしさや満足感」は
まったく違ったものとなります。

つまり、支払い終わった時の満足感
(これを私は『食後感』と言っています)を判断する時、
店のコンセプトによって「おいしさ」や「心地よいサービス」の
判定基準は上下するのです。
年に数回の記念日に、「グランメゾン」で豪華に食事をする時は、
高額支払いを覚悟していきますから、
それなりに高級食材と非の打ち所のないサービスは
必要充分条件です。
勿論、おいしいことは言うまでもありません。
つまりハードルはかなり高い。
月に何回か、親しい仲間とワイワイやりながら食べる
低価格の店の場合は、量があってそれなりにおいしく感じ、
ワインもたらふく飲んで出来るだけ出費は抑えたいものです。
どちらも支払った費用対効果(CP:コスト パフォーマンス)
を相対的に評価しなければなりません。
料理評価本でよく見かける、高価格店も低価格店も
同じように同列に星数や10点満点で絶対評価して比較しても
実は意味がありませんし、できる訳がないのです。

でも、世にこの2タイプの店しかないということはありません。
多くの店はこれ以外の次の2つのタイプに属していると思います。

1、内装など見映えを良くし、スタッフも多めに雇って
客の目を料理から離れさせ、食材や手間暇をおしんだ
いわゆる手抜き料理を提供する店。
2、内装などはそこそこ見映えを良くしているが、
客の心地よさなどを無視してサービス面をおざなりにして、
しかし、料理はある程度の食材と手間をかけて提供する店。

これらは今の料理店の中心価格となっている
中価格店に多いものです。
どちらも私が思いますところCPは悪い。
おっと書き忘れていました。
高価格店でも料理のおいしくない、サービスの悪い店、
低価格店でも、安いだけで
手の抜いた料理を出す店も多くありました。
明日、明後日と、高価格店、低価格店の中で、
私の思うCPの良い代表的なフレンチを取り上げて食後感、
CPというものを考えてみたいと思います。