第291回 再び、ワインを酸化させないセーバーについて その2
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- 2004年5月1日(土)
特殊なコルクチェンジャーというもので、
不活性ガスを注入して抜栓し、専用のプラグを装填して
空気にまったく触れさせず酸化を防止するようです。
確かに酸化は今までのものと違ってかなり抑えられるでしょう。
バイザグラスの店では画期的なことだと思います。
しかし、抜栓はHPを見る限り、
ネジの反動の仕組みを使ったスクリュー式に見えます。
普通のソムリエナイフでは、
抜栓で空気に触れてしまうからでしょう。
この抜栓システムは、古酒のコルクでない限り、
初心者でも簡単に出来る抜栓器具なのですが、
プロではあまり使われていません。
スクリューの先が、コルクを突き抜ける可能性があり、
結果コルクの破片が
ワインの中に落ちてしまう危険があるからです。
ソムリエの抜栓では、
スクリューを突き抜けさせないように注意を払うのが一般的です。
余談ですが、私は唯一、
有名な店でこの簡易な道具で抜栓をされた事があります。
10年近く前、当時は2つ星だった「ギイ サヴォア」で
1961年のピション ラ ランド という
比較的古酒を頼んだのですが、
目の前でこの器具で開けられかなりびっくりした記憶があります。
話は戻りますが、
このスクリュー式以上にこのサーバーを見て私が引けた理由が、
専用プラグを装着したあと本体に
ボトルを逆さまにしてセットして、ワインを注ぐことです。
問題点は2つ。
ワインは酸化だけでなく、
澱にも気をつけながらサービスするのが常識です。
そのため、パニエなるものを使って、
澱の侵入を防ぐ事もあります。
逆さまにしたら、澱は瓶内で撹拌されてしまいます。
仮に、暫くそのままの状態で保管していたとしても、
澱は瓶口に溜まります。
最初の1杯を捨てようとしても、
次の杯からうまく澱を除外してサービスすることが出来るのか、
これは店へ行く行かないに関係なく
避けたい理由になるところです。
そしてもう一つ。
澱のないワイン、つまりすごく若いワインなら
澱がないから問題ないではないかとのご意見もあるようですが、
ボトル詰めしない、
未だドメーヌやシャトーで樽熟成しているワインでも、
樽の底には澱が溜まっているものなのです。
仮にボトルにはまったく澱がなかったとしても、
年を経るごとに澱は溜まってきます。
また、澱がないほど
そんな若い強いワインを好む人は限られていると考えます。
澱が注がれそうになるワイン、
または澱がまったくないほど若いワイン。
どちらにしても、
これはその店に行く前にわかってしまうことなので、
私は訪問するのが引けてしまったと述べました。
実際「その通り」とのメールもいただきました。
ただこういうコラムを書いている以上、
検証のため、機会があったら訪れる努力はするべきと
考え直しております。
よく「生簀料理」に旨いものなしといいます。
生簀で餌も限られストレスの溜まった魚。
〆たばかりのものは、食感がこりこりしているだけで、
アミノ酸だか旨み成分が回っていなくて味が落ちる、
というのが理由なのですが、
私は自分からは
生簀料理屋というものには入店することはありません。
まったく期待できないからです。
第250回での私の発言は、
この「生簀料理」と同じといったら語弊があるかもしれませんが、
その店の方針、スタイルからみて判断したということなのです。
(以下は明日に続く。)