第275回 イタリアのトラットリアで感じたこと

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  • 2004年4月15日(木)
数ヶ月前、イタリアはミラノ、ローマへ家族旅行し、
現地料理を食べてきました。
現地料理の詳細な知識や分析は
同じく邱永漢さんのコラムを担当されている
井川直子さんに譲るとして、私友里が感じたことがありました。

以前にも書きましたが、
ピッツェリアは夜遅くしかやっていないので、
気軽な店と言えば「トラットリア」になるでしょうか。
観光スポットのど真ん中にある店、
つまりドォーモやスペイン階段の近くの店は、
観光客相手の営業のようで、
味も含めてCPを良く感じた事はありませんでした。
東京の六本木ヒルズの店で食べているようなものでしょうか。
イタリアでもこの手の定説は生きているようです。

反面、市内の住宅地の近辺にあるトラットリアは、
たとえ元旦でも地元の人で、活気が溢れておりました。
とにかくテーブル配置は余裕がみられない詰め込みで、
しかも客がひしめき合っています。
お任せで頼んだ前菜は、どれもボリュームたっぷりで味は強い。
パスタも肉料理にも言えることですが、
東京の数あるイタリアンの主要スタイルとは
異なった方向性であると感じた次第です。

東京のイタリアンは高額店も廉価な店も
どちらかというと盛り付け、色合いなども重視した
中性的なイメージ。
しかし、現地のトラットリアは、男性的な力強さを感じました。
同時期に訪問した、星付きレストランなど
リストランテとはまったく違った、独自性を持っていました。
日本も、高い店、安い店が
同じようなイメージの料理を目指すのではなく、
このように、特徴を変えたほうが
より客層が広がるのではないかと考えた次第です。