第255回 シロートとは誰のことか

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  • 2004年3月26日(金)
早いもので
このコラムを担当させていただいて10ヶ月が過ぎたようです。
いつの間にか連載も250回を超えています。
取材費のない一般人ですので、毎日食べ歩く事は不可能でして、
よって毎日更新が義務であるこのコラムに
毎回お店のことを取り上げられない事情を
ご理解いただきたいと思います。
要するにネタ不足になるわけですが、
そこは「コラム」というもの、
関連したこと、気づいたことを
気ままに書かせていただく勝手をお許しください。

そこで友里として一番書きやすいのはなにかというと、
持論である料理評論家、フード・レストランジャーナリストの
取材方針や考え方などへの問題提起となってしまうのです。

外食費のほか、このネタ探しのため
かなりの料理店紹介雑誌をしょっちゅう購入する羽目になり、
家の中はこの手の雑誌や本で溢れかえっており、
妻からは散々嫌味を言われています。

やはり「ブルータス」の3/1号なのですが、
ちょっとそれはないよなー、と思うところを見つけました。
このコラムでは最早、山本益博氏を抜いて
出場トップに躍り出たと思います「犬養裕美子氏」。

「有名料理人が通うレストランはどこだ!?」の書き出しに、
「最近、素人のレストラン批評が流行っているようですが、
しょせん素人はシロートです」
と書いています。

わざわざ「シロート」とカタカナで書いて蔑視するほど
友里征耶に嫌悪感を抱いているよう見受けられますが、
流行っているかは別にして、
これに当てはまる、
彼女たちの取材姿勢を問題視して気分を害している、
「素人らしきレストラン批評」は拙著くらいではないでしょうか。
彼女は週刊文春を通して
友里征耶を的外れに批判されていましたし。

彼女のどこが玄人なのか、
と突っ込むほど野暮ではありませんが、
この業界はテニスと同じく自分がただ「プロになりたい」と思い、
宣言すれば誰でもプロになれる業界だと私は思います。
別に私が玄人と言いたいのではなく、
素人と玄人との垣根は、ほとんど感じないほど低い業界です。
彼女の妹分と思われる「東京最高のレストラン」の
「食べ手のプロ?」の一員である北條芽以氏も、
そのコメントを見る限り、
限りなくいわゆる「素人」に近いと思うのは
私だけではないはずです。

つまり、ライセンス制ではないのですから、
重鎮といわれる山本氏を含め、
各フード・レストランジャーナリストたちも
それで生活をたてているから玄人ともいえるのでしょうが、
内容は素人とどこが違うのか実に曖昧な職業のはずです。
言い切ればそれで終わりなのですが、
プロと宣言していない友里を
「シロート」と遠まわしで非難する前に、
対象となる人を、実名をあげて(つまり友里征耶と名指して)、
具体的にどこの部分が事実誤認で、素人丸出しなのか、
正面から向かってこないのは、
それこそ玄人、プロとはいえないのではないかと思います。

ジャーナリストと自称しているのに、批判対象者を絞り込まず、
ボカしていていいのか、
それこそ自称ジャーナリストの素人遊び
といわれても仕方がないのではないと考えます。
批判対象者をぼかさず友里に絞ってしまうと、
論争の主点、つまり「特別料理」の存在や「実名取材」の
可否の論争になってしまうのを避けているとも想像しますが、
逃げているばかりでは
玄人のジャーナリストとしていかがなものか、
今後のプロとしての対応を期待したいものです。