第228回 料理評論家、フード・レストランジャーナリストの習性・実態その23嫌な事に多く遭遇するのはその人自身に問題があるのでは、に対して

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  • 2004年2月28日(土)
大谷浩巳氏が恐らく友里を対象にしてしるであろう、
やはり「東京最高のレストラン」P256で述べられている発言です。

確かに輪廻というのでしょうか、
前世が良くない場合や個人の性格の問題などで、
普通の人が経験しなくてよい
嫌なことにいくつも遭遇してしまう事があるかもしれません。
個人に問題がある場合は、確かにその通りです。

別に私が完全無欠と言っている訳ではありません。
至らない点が多いのか、
外食関係ではなくもっぱら本業系で苦労する事も多いのですが、
拙著を読み返しましたが、
そんなに嫌な仕打ちを受けたことを
多く書いている箇所はないと確信しています。
彼もやはり犬養女史と同じように、
具体的に指摘せず、ただ「本人自身の問題だ」
というだけなのですからいい加減です。

友里は具体的な例を挙げず、
ただ、フード・レストランジャーナリストは
「いい加減なことばかり書いている」とは言っておりません。
褒めた店、ヨイショしている店でも、
実際はこんな客あしらいをしている、
料理も本当は傑出していない、
と彼らが気づかない(気がつこうとしない)事を
具体的な例を挙げて書いているのです。

先週と重複しますが、
「客追い出し」、「カード手数料の客負担」は私だけではなく、
何人からも確認、または読者方々からのメールによって
裏づけしております。
これらは、実名取材者や常連客以外でしたら
誰でも受けた仕打ちであります。
ただ、これを泣き寝入りして公に問題提起しなかっただけのこと。

「レトワール」とのやりとりも、
非は同伴者にあると認めていますが、
たった一回の同伴者の失礼で、謝罪を表しているのに、
あそこまで先鋭的に反応して、一方的に契約を破棄して良いのか、
という問題を取り上げただけです。
料理が悪くないのは誰もが認めるところなのに、
未だに客が少ないこの店は、
やはりその辺の料理人の個性も関係していると考えます。

後は、ブショネのクレームを無視されたといったもの。
これも店側の姿勢であって、
少々のものは押し通せといった客の立場を無視した店は、
こういっては何ですがたまに見かけます。
ブショネの判断は繰り返しますが非常に難しい。
おそらく、ワインに詳しくないであろう
料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちは、
わからずに飲んでしまっている事も多いと推測します。
つまり、個人の問題で嫌な事に遭遇しないのではなく、
「嫌なことに遭遇していてもわからない」だけのことなのです。

誰にとっても居心地がいい100%完璧な店はありません。
店の欠点を知っても、それを補って余りあるものがあれば
そっちの面を愛するようにすればいいという、
教科書的な彼の主張もわかります。
しかし、彼らがヨイショした店のなかには、
料理も凡庸、サービスも客を客として扱わない、値段も高い、
と補うものがない店が多いのです。
実名取材の限界か、特別待遇に慣れきってしまって、
店が普段とっている一般客への仕打ちを理解しない、
知ろうとしない、いや知る事が出来ない、
いわば「裸の王様」になっていることに気がつかないのが、
彼ら自称ジャーナリストの悲劇、いや喜劇と言えるでしょう。

実名取材申し込みで、
入店前に店側と暗黙の裏取引を成立させてしまっていますから、
普通の客のような仕打ちを受けるはずがありません。
嫌な仕打ちに合うのが少ない、もしくはないのは、
彼ら個人に問題がないのではなく、
彼らの肩書きがあるからだけと考えます。

犬養女史も褒めまくっていた、「麻布 かどわき」。
本当に追い出していたかを主人に確認してみたのかどうか。
「レトワール」のシェフや「幸村」の主人にも
後追いでも確認取材するのが、
ジャーナリストと名乗っている方たちの
役目、責任ではないでしょうか。
それまでは、その料理人の性格を含めて
褒めまくるような描写の記事を書いていたのですから。