第227回 あの店は今・・・ その5カメレオン

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  • 2004年2月27日(金)
私の前著で書かれた内容に怒りまくっていると
偶然あるフードジャーナリストから漏れ聞いた萩原シェフ。
再訪にはちょっと勇気がいりました。

料理はエスプレッソをいれて13種と多皿。
以前の訪問時は、
当たりの料理が少ない不運を味わうと感じましたが、
今回は、ほとんどの料理がハズレと言えるものでしたから
なおさら驚きました。
進歩ではなく、退化というのでしょうか。

相も変わらず食材の取り合わせの妙だけの「サプライズ料理」。
百合根のスープに角切りのニンジンを入れたスープは、
百合根とメニュに書かれているからか、
かすかな風味を感じるだけのただの薄いスープ。
林檎と牡蠣のパイ包みなど、
聞いただけで引けてしまいそうですが、
燻香を付けた牡蠣と林檎が見事に共鳴しておりました。
柿のジュレとモッツァレラのクリームもキワ物、
穴子と蕪のフォアグラ風味は、
蕪のどこにフォアグラの風味をつけているというのか、
素材レベルが凡庸なだけに、
味が薄ければ料理としては致命傷と考えます。

山鴫のラビオリもサプライズ。
このジビエの代表選手みたいな食材を、
ラビオリの中に使ってしまってはいけません。
何だかわからなくなります。
猪肉のタリアータも2切れと少量。
癖がないので万人受けしますが、量があまりに少なすぎます。
蛤のスープ仕立ても蛤の滋味をまったく感じませんでした。

ワインリストは1枚のボードのみ。
ワインバーを兼ねている店の割には貧弱なのですが、
リスト外の若い、あまり知られていないワインもあるようです。
1万円前後の値付けのものが主体ですが、
料理内容を考えると、
もう少し価格帯を下げたほうが良いと考えます。
結構安いワインを提供するインポーターのラベルを見ました。
仕入れは安いと思いますが、
ランソンというシャンパーニュも8千円とやや高かったですね。
以前よりも更に、CPの悪い店になっていると判断しました。