第21回 ランチのグラスワインは避けるべし

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  • 2003年6月8日(日)
平日は別にして、土日にでかけたお店でのランチでは、
食事に合わせてちょっとワインが飲みたくなるもの。
でも、グラスに注がれるワインのボトルに注目してみてください。
恐らくワインは満杯ではなく、
減ったボトルから注がれているはずです。
つまり、直前の抜栓ではないのです。
周りの客をみると、ワインを頼んでいる人を見かけない。
となると、どういうことでしょうか。
簡単ですね。
わざわざ抜栓後、ワインを捨てているわけではありませんから、
そのボトルは少なくとも昨晩開けたものと容易に推測できます。
つまり、コルクを抜いてから12時間以上経過したものです。
グラスワインの売れが悪い店では、
もしかしたら2日以上にまたがっているワインかもしれません。
ワインが残り少ないボトルでしたら、
それくらいの覚悟が必要です。

ワインは原則、抜栓後時間の経過とともに
香りや味わいが平坦になっていきます。
どんどん味が落ちるのです。
濃いワイン、若いワインは
抜栓から少し時間を置いてから飲んだり、
デカンタージュして平坦化を進めて飲んだりする場合もあります。
でも、グラスワインに使うワインは、
濃縮度を上げて手間暇かけた高いワインではなく、
薄めで手間暇かけていない安いワインです。
抜栓したらすぐに飲んでしまいたいものが多いのです。

ポンプでボトル内の空気を吸い取って
真空状態にしてキャップをする簡単な道具もあり、
この平坦化を防ごうとしているようですが、
ほとんど役には立っていません。

安いですからもともと味にそんなに期待できないワインで、
時間経過でフラット気味になったワイン。
これをお客に出す場合、
お店はあるテクニックを使ってくる場合があります。
たいしたことではありませんが、
少し冷やし目で小さめなグラスで出してくるということです。
常温が一般的である赤ワインでもちょっと冷やします。
冷やして飲む白ワインならより冷え気味で出してきます。
冷え気味だと、味わいの差がつかみにくく、
アルコール度や酸味を感じることなく
ジュース感覚で飲めてしまうのです。
まずく感じにくくなります。

これからは、ランチに限らず、グラスワインを頼むなら、
ボトルをちょっと気にしてください。
最後の1杯しかとれないようなボトルだったら、
お店に新しいボトルの抜栓を要求してもいいでしょう。
かなりの時間経過を予想できますから。
仕入れ価格から考えますと、
グラスワインは数杯売れれば、充分元は取れているのです。
ボトル1本で、8~10杯のグラスワインを売るのですが、
半分以上は利益になっているようです。