第189回 料理店の盛衰は営業方針次第? その2「つくし、たぬきの台所」が閉店
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- 2004年1月20日(火)
これほど短期間に二転三転してしまった店は
珍しいのではないでしょうか。
西麻布の地にオープンして数十年経つ、
一時は有名店、人気店だった、「つくし」、「たぬき」が
昨年末でなんと閉店してしまいました。
以前迷走してしまって将来が心配とこのコラムで書きましたが、
これほど早く終末が訪れるとは思ってもみませんでした。
北品川の地に「つくし」を再開すると看板にはでていましたが、
より都落ちの感がある移転、うまくいくでしょうか。
つくし、たぬきの凋落は前兆がありました。
つくしは吉兆出身の主人がウリでしたが、
板長が若返ったためか、
ここ何年も、有名な土鍋以外何の特徴もない
普通の料理の割高な割烹料理店になってしまっておりました。
客も減っていました。
たぬきは、飯と汁がウリで、
確かにその品数や内容の割に高かったですが、
それなりの品質でした。
外車を乗り付けて客単価2千円くらいの焼き魚や
刺身の定食を食べていた区外、都外の人も多かったのですが、
高飛車な接客態度などサービス面で評判は良くはなかった。
料理の出、お酒の出も遅く、
居酒屋のような温かい雰囲気もなく
ここ数年客足は落ちていました。
昨年春に、「たぬき」を惣菜屋にかえ、
2階の「つくし」を
そのたぬきの惣菜をだすダイニングに変更したのですが不発。
すぐさま2階は「つくし」に戻り、
1階の「たぬき」も何回も店内も改装して
最後はカウンターをつくって
店内で食べられるようにしたのですが、
逃げた客は戻ってこなかったようです。
これだけ1年もたたずにコンセプトを変更した店というのを
私は他に知りません。
老舗の和食店だったのですが、
経営者の営業方針の迷い、混乱で
あっけなく幕を閉じてしまいました。
昔のよき店を知っているだけに誠に残念。