第187回 隠れ家レストランの典型、「SIMPEI」
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- 2004年1月18日(日)
行ってしまった上大崎の「SIMPEI」。
創作フレンチに分類されると思うのですが、
住宅街にポツンと一軒屋を改造したかのような
目立たない店構えは、知る人ぞ知る「隠れ家レストラン」として
有名です。
でも、私はこの手の店でよく経験する、
典型的な食後感をもって店を後にすることになりました。
ずばり、「うまくなくて高い」。
六本木の「まっくろう」にも言える事ですが、
「隠れ家レストラン」と呼ばれるには
いくつかの条件が揃わなければなりません。
意外性のある立地や目立たない店構えは当然ですね。
加えて、内装や什器、客層にも拘りがあります。
カタカナ名の職業、
いわゆる業界人や芸能人の比率が多くなければいけませんし、
フレンチやイタリアンのはずですが
なぜか「箸」の常備が必須です。
ナイフやフォークより箸を要求する客が多いのでしょうか。
センスにも特徴がでます。
椅子に白いカバーを掛けた関西テイストや、
コック帽をかぶったホールスタッフといった驚きも必要です。
そして、肝心の料理。
「和のテイストを取り入れた」などと称した創作料理は、
決してうまい部類に入ってはいけません。
使用素材に比べて割高な金額設定も欠かせません。
勿論お任せコースのみです。そして、しめはご飯と汁の登場です。
隠れ家でリラックスすることが大事なのでしょうか、
同じような客単価の高い店の中では、
上着を脱いだシャツ姿の男性の比率が
非常に高いというのも特徴であります。
こうやって改めて書き出しますと、
いわゆるまともなフレンチやイタリアンと言えるのか、
疑問を持たれるのではないでしょうか。
「SIMPEI」はコック帽を除いて
これらほとんどの条件を完備した
典型的な「隠れ家レストラン」であります。
たいした素材を使っていなくて1万5千円均一の料理。
蕎麦が必ず出るそうですが、
フォアグラなど洋の食材との相性には疑問ですし、
ソースなどにも手の込んだものを感じません。
サービス料が15%というのも驚かされます。
そしてワイン。
ノンヴィンのシャンパーニュに、
軽く1万円を超す値付けをする営業姿勢はいかがなものか。
他のスティルワインもそれほどではありませんが、
かなりの掛け率で販売しています。
しかしこのように、
隠れ家レストランが、今尚存続しているということは、
CPをまったく問題にしない客が
まだまだたくさん存在するという証左なのでしょうか。