第178回 なぜこんなに流行っているのか、「てんぷら 近藤」

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  • 2003年12月27日(土)
繁盛しているのでしょう、
予約時刻は18時か19時と限定されます。
2回転を想定しているようです。
今現在は未だ仮店舗とのことですが、
入り口付近は雑然としていて、
店全体も楽亭のような「凛」とした雰囲気がありません。
カウンター割烹のイメージです。

カウンターは12席、テーブルも8名分くらいはありましたから、
20名と天麩羅屋としてはかなり大箱のはずですが、
スタッフは厨房内も含めて3人以上いましたから、
個人天麩羅屋としては大所帯です。
着席して驚きました。
主人の近藤氏に覇気を感じないのです。
昔と違ってかなり老け込んだようで、
目に生気を感じずぼーっとつけ場に立っているのです。
客にではなく料理人に緊張感がないのは問題です。

コースは8千円から。
小鉢2つがついて1万円、それに造りがついて1万5千円です。
付加価値をつけて売上げ増を狙っているようですが、
造りとネタの数が少し増えただけの5千円プラスは高く感じます。
造りは主人ではなく男性スタッフが包丁を入れていました。
食材レベルは「楽亭」の4千円の方が上と判断、
その他天麩羅のネタの下ごしらえもすべてスタッフがやるので、
主人はただ鍋の前で揚げるだけ。
しかも揚げ終わった天麩羅はスタッフが客へ出しますから、
主人は楽なものです。
しかし、そのお陰で余計な人件費が
売価に転嫁されることになるはずです。

この店の特徴は、「野菜」にあると言います。
海老、キス、めごちなどの定番以外は、
アスパラ、レンコン、栗、しいたけ、ナスなど
野菜が7種と目立つのですが、魚系はこれに牡蠣と穴子。
やけに野菜の比率が高いのですが、
限定した野菜を用意したとしても、
原価率はかなり低いことが想像できます。
シイタケの旨さが印象に残りましたが、
あとは海老も野菜もすべて普通レベル。
特に穴子は身がやせ細っていると言うか、
貧弱なもので生臭かった。
オプションで頼んだ、
名物サツマイモは確かに甘くてよかったが、
完全に火を入れないと食べられない食材、
わざわざ天麩羅にしなくても焼き芋で充分です。
細切りしたニンジンもカリカリにして
香ばしさと甘みをだしたいのでしょうが、
これではどの職人でも出来るものと考えます。

ウリの天茶も並みでしたが、食後にフルーツが出てお腹は充分。
かなりお酒を飲んでも、
1万5千円のコースで一人2万円はかかりません。
お酒は安く設定しているようです。
マスコミの過大評価の代表みたいな天麩羅屋。
他の高額店を抜きん出るものがなく、
わざわざ行く必要はないでしょう。