第170回 そこそこの食材で割安感がある、「とく山」

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  • 2003年12月19日(金)
分店である「分とく山」を知っていても、
本店は行った事がない、もしくは存在自体を知らない、
といった方が多いかもしれません。
最近は、レトルトだかのTV宣伝にまで
アップで出演している野崎料理長に比べて、
まったく名も顔も売れていない若い料理長を擁するのが、
本店の位置づけの「とく山」です。

昔は、「分とく山」の予約電話が
ここへ転送されて、受付されたということを
ご存知の方は少なくなったかもしれません。
カウンター主体の板前割烹料理店と言うのでしょうか、
冬は河豚をメインにしたコース料理がウリですが、
春や夏は旬の食材をベースに単品でのオーダーです。

この店を一言で表すと、
「そんなに高級食材ではないが、
安い価格設定のCPの良い和食屋」となります。
ウリのふぐから行きましょう。
いくつかの先付けに位置するつまみやふぐの煮こごりの後、
ふぐ刺しが2種でます。
昆布に乗せられていて、塩で食べるものと、
普通のポン酢で食べるものです。
そして、から揚げやちり鍋、雑炊と
ほとんどフルコースで価格は1万5千円見当。
オプションの白子焼を加えて2万円と考えてください。
銀座の高級店で食べるような最高食材とは感じませんが、
この値段では量も含めて充分満足するコースであります。
同じくウリの凍結酒を飲んで、
二人で4万円台は、納得の金額ではないでしょうか。
近辺に、おでんの「六根」と同じグループである
大衆店「たらふく」があります。
安い店のイメージですが、
「とく山」と同じような内容のコースならば
9千円近くになります。
食材、味わい、手のかけ方などを比較したら、
あと6千円払っても食後の満足感が違うことは、
食べ比べた人にはわかるはずです。

春や夏の時期は、より予算は少なくてすむことになります。
八寸のような、前菜の盛り合わせは、
見た目がよく、女性にも人気でしょう。
味もそこそこ。
単品オーダーで、旬の魚を造りで食べ、
「分とく山」の上を行くウリのアワビの海苔キモソース、
そして、焼き物や炊き合わせの後、
ご飯物でしめることになりますが、
凍結酒をかなり飲んで、それで一人1万円強です。
「分とく山」の創作料理よりまともな和食で、
総額が下回るのは意外です。

店名が売れていないのに、店内は満席です。
常連、リピーターが多いようですが、
その理由もこの割安感なら理解できますね。
ニンニクをふんだんに入れた「じゃこ飯」は、
和食といえるか意見の分かれるところです。