第169回 昔の名前だけど満席になる、クチーナ ヒラタ

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  • 2003年12月18日(木)
東京ではイタリアンの老舗に位置するでしょう、
麻布十番の「クチーナ ヒラタ」。
昔は評価本でイタリアンの中心でしたが、
最近はあまり積極的に取り上げられていません。
イタリアンのオーナーシェフのはしりだったと記憶しています。
古い料理店、例えば「サバティーニ」や「キャンティ」、
「山崎」などが集客に苦しむ中、
この店は相変わらず順調なようです。
一見すると、婦唱夫随のマダムとシェフ。
オーナー店の典型的なコンビですが、
マダムの個性が目立った草分け的な店だったと私は思います。

お任せではないのにメニューは存在しない。
(現在は簡単なものがあるらしい)
すべてマダムの口上から、客は料理を選ぶのですが、
価格の開示がないので、一見客は相当不安になることでしょう。
古くからとっているこのシステム、
アラカルト専門で真似している店を私は他に知りません。
おそらく、あのキャラのマダムにして許される?
この不明朗オーダーは、他店では通用しないと考えます。
最新版の「東京最高のレストラン」では、
「皿数の多いコースで知られている」とありますが
アラカルト主体で、「カメレオン」みたいに多皿ではありません。
完全な間違いです。

オープンキッチンの時は、マダムが強いからか、
スタッフを怒鳴りまくっていたシェフの声が、
店内改装で厨房が隔離され聞こえなくなりました。
ホールが圧迫感を受けるようになったのが残念です。
料理は非常にシンプル。
食材の質の高さからか、
あまり奇をてらった手法をとらない、オーソドックスな、
簡単に言えば、日本人に合うイタリアンといえます。
前菜は冷・温共に種類は豊富で、パスタも多い。
シンプルの極地を味わいたいなら、
ウリの「青唐辛子のスパゲッティ」を頼むと良いでしょう。
食材の原価率を計算してしまうと頼めない1品ですが、
昔からの定番料理、満足すると思います。
ワインは、やや高い値付け。
しかも、低額品をリストアップしていないので、
1万円前後から選ばざるを得ないと考えます。
ワイン好きには、第二リストとなる
より高額ワインのリストもあり、
ワイン通にも対応しているようです。

料理の予算は一人1万5千円くらい。
ワインをいれて一人当たり
2万5千円は覚悟しなければならないでしょう。
かなり高いイタリアンですが、
2階の「ヴィーノ ヒラタ」から独立したシェフがやっている
近所の繁盛店「ピアット スズキ」と同じような価格。
どちらを選ぶかというと、本家を私はお勧めします。