第164回 注目度が落ちてきた、YANAGIDATE

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  • 2003年12月13日(土)
昨年、同じ青山に分店を出してきてからでしょうか、
めっきり雑誌や評価本への露出が減ってしまったのが
北青山の「ランス YANAGIDATE」です。
その名の通り、
ランスの3つ星店「ボワイエ」で修行を積んだとされる
柳舘氏のフレンチです。

表参道からも近い、
スーパーの紀伊国屋の裏という立地的には申し分のない場所。
しかし、路地の突き当たりで、
怪しげな高額中華店の裏に位置するため、フリの客は望めません。
それどころか、
初めての予約客も行き着けないのではと思われるほど
店へのアプローチは最悪な条件です。

修業地であるシャンパーニュ地方を意識しているのでしょう、
独立したシャンパーニュリストには、
20種以上の泡物が明記されています。
値付けは普通ながら、これほどの品揃えは他店にはないでしょう。
このようなコンセプトの中、
シェフのどちらかというと創作意欲のある料理とあわせて、
以前はマスコミの注目度は高かったのです。
しかし、注目度やシェフの認知度と、
客の入りが比例しないのを証明したのもこの店であります。

私は満席になったところを見たことがありません。
と言いますか、5割も埋まったところもあまり記憶にないのです。
料理が悪いのではありません。
厨房スタッフには厳しい、昔ながらの気質のシェフですが、
店には詰めていますし手を抜いていることはないでしょう。
問題は私が思うに値付けです。
プリフィクスタイプなのですが、
前菜と主菜(魚か肉)の2皿で6500円、
前菜に魚と肉の3皿で8500円はやや高めのイメージですが、
より割高に感じるのが追加料金の設定です。
スペシャリテと言われているおいしそうな料理、
すなわち半数近くの皿に1千円のプラスが設定されているのです。
ついつい3皿のうち2皿に追加を認めると、
料理だけで1万円を超えてしまうのです。
料理はスペシャリテが多いせいか、
定番が半分近くあって目新しさを感じないのも問題であります。
前菜に
「温泉卵とオマール、ホタテ、うに、キャビアのコンソメゼリー」
や「江戸前アナゴとフォアグラのミルフィーユ」など、
一度は食するに値する料理があるのですが。

それからもう一つ。
ホールの女性スタッフの評判が悪いようです。
仲が良いのか芸能人の客に、あからさまに特別待遇し、
一般客を差別する様を見せられると、
通う気がしなくなる場面にも遭遇しました。
料理は悪くはないのですから、これらの問題が解決されれば
(これが難しい)埋没は避けられるかもしれません。