第155回 ウリの天然鰻も好みが分かれる、「たかはし」
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- 2003年12月4日(木)
ショーケースのあるつけ台、
出前もしている街場の普通の鮨屋だと思っていたのですが、
意外とネットやガイド本に登場しているのに気がつきました。
結構有名なのです。
豊富なツマミ類と時期が合えば天然鰻が秀逸だとのこと。
出前する鮨屋にちょっと引いてしまいますが、
天然鰻の真の旨さを求めている者として、
この噂を聞き逃す事は出来ません。
天然鰻の入荷を確認して訪れる事が出来ました。
店内はカウンターが13席とテーブルが1つ。
大柄な主人と2番手がつけ場に立っておりました。
黒い衣装を着た主人を一目見て、創作系の鮨を連想しましたが、
明るい清潔な店内で、満席。確かに人気があるようです。
近場の常連客、家族連れも多く見られます。
私は初めての店ではお任せを頼むのですが、
噂の通り豊富なツマミから始まります。
しかもそれは単に刺身を出すだけではなく、一工夫した創作系。
秋刀魚の皮やホッキのヒモの炙りなど
「松栄」やよくある「・・勘」という名の鮨屋で
良く見られるパフォーマンス系なのですが、
ツマミが永遠と続くかのごとく出てきます。
下手をすると握りに行かないうちに、
満腹になってしまうかもしれないほどで、
頃合も見て切り替える勇気が必要でしょう。
ウリの天然鰻は既に捌いたものを仕入れているようです。
思ったより大ぶりで、蒸さずに焼くとの事。
期待に胸は膨らみました。
待つこと15分以上でしょうか、
皮側からゆっくり焼いたという天然鰻は
食感も良さそうだったのですが、
ツメというかタレが甘すぎて私のテイストではありません。
皮目はバリッと焼き上げて身は適度な柔らかさ。
このコントラストは面白いのですが、
タレが強すぎて、天然鰻の風味、旨みを感じ取れないのです。
タレが邪魔しているようで、私に言わせると誠にもったいない。
煮きりとは言いませんが、
天然物の旨みを引き出す
甘さを控えたものにしたほうが良いのではと考えた次第です。
握りのネタは、銀座、六本木など
繁華街の高額店と比べるとランクはやはり落ちるのは仕方ない。
客単価が違います。
真の江戸前とは違うと思いますが、
お酒が好きな方には創作系の豊富なツマミ、
時期があえば敢えて甘さを我慢しての天然鰻、
そしてそこそこの握りネタで、一人1万円強。
わざわざ遠方から駆けつける店ではないでしょうが、
コストに見合うだけの食後感、
そして緊張感のないフレンドリーな接客で、
タクシーで数メーターの範囲なら
家族連れで通える鮨屋と考えます。