第152回 緊張感は客にではなく料理人に必要だ!
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- 2003年12月1日(月)
「鮨屋は店内の緊張感が必要だ」というコメントを見かけます。
いつから、鮨屋の主人は
客に緊張感を与えるような方向へ行ってしまったのでしょうか。
居酒屋のような
ワイワイガヤガヤの雰囲気というのは考え物ですが、
なぜ鮨を食べるのに客側が緊張しなければいけないのか。
一つは、そのように客を指導することによって
主人や店のカリスマ性を高めて、
注目店にしたいという店側の思惑。
もう一つは、常連を自称する客側の、
一見客の侵入をなるべく排除したいという思惑。
この2つが一致した結果と私は考えます。
よくフードジャーナリストは言います。
見たことがないはずですが、
「友里征耶のように、
イチャモン、あら捜しをしながら店に行ってなにが楽しい。
レストランは楽しむものだ」と。
私は仲間と会話を楽しんで食べているのですが・・・。
カリカリしていたら、直ぐに友里だとばれてしまいます。
そう言っているジャーナリストは、
例えば緊張感を与える最たる店、
若い女性客や常連客以外の客が楽しんでいるところを見られない
「次郎」のことを槍玉にあげていません。
楽しむべき食事で、料理人が客に緊張感を与える、
見下す、威圧するような言動をするのは、
最もやってはいけないことではないでしょうか。
鮨屋だけは、客が楽しめなくともよい、
アンタッチャブルな空間とでもいうのでしょうか、疑問です。
それよりも私は言いたい。
「緊張感を持つのは客でなく、料理人自身だ。
その言動を逐一チェックすることは
客に対して大きなメリットになるはず」。
料理人が客に対してどのような対応をしているか。
たとえば、スタッフの人件費をケチって
間延びした皿出しで客を不快にしていないか。
カードの手数料を客に転嫁していないか。
回転率を上げるために客を追い出してはいないか。
フードジャーナリストや料理評論家と癒着して、
過大評価を得ようとしていないか。
それらを常時一般客がチェックすることにより、
料理人には緊張感が生まれ、
客をないがしろにする行為、言動がかなり防げると私は思います。
現に、「アッカ」はサービスのプロが一人加わったと
「東京最高のレストラン」に出ていましたし、
「幸村」も今は手数料を客に転嫁していないでしょう。
「かどわき」も追い出すほど客が入っていないこともありますが、
主人は店の外まで客を見送るなど、
謙虚さが戻ってきているようです。
私は敢えて言いたい。緊張感は料理人にこそ必要だと。