第151回 料理評論家が飲食店関連会社の顧問になって良いのか!

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  • 2003年11月28日(金)
例えば、野球の審判員が
ジャイアンツやタイガースと顧問契約を結んでいたら
どう感じますか。
自動車評論家が、
トヨタや日産の顧問に就任していたら、
公平な評論が出来るでしょうか。

先日、読者の方から教えられ、
(株)ソーホーズ・ホスピタリティ・グループのHPを見まして
私は驚きました。
この会社は、「青龍門」グループや
「NOBU TOKYO」を経営している会社として有名ですが、
六本木ヒルズの中華3店
「厲家菜」、「香港茶樓」、「南翔饅頭店」なども
企画や設計などの面で関連しているのでしょう、
会社のHPでは、
レストランガイドの頁でこの3店が紹介されております。

そして、この会社概要の役員氏名の欄に、
顧問として山本益博氏の名が載っているのです。
「料理評論家」としての注釈もついています。
顧問は商法上役員(取締役)ではないので、
念のため登記簿謄本を取ってみたのですが、
やはり、取締役には彼の名は記載されていませんでしたので、
ソーホーズと山本益博氏は
ただの顧問契約をしていると想像できます。
でも、これってありでしょうか。
勝手にソーホーズ側が
山本益博氏の名を載せたと考えることも出来ますが、
今春だったと記憶していますが、
「厲家菜」を取り上げたTV番組に彼は出演していましたから
関係は深いと推測するのです。

注目したいのは山本益博氏の「厲家菜」に対する評価です。
この店に食べに行った私の周りの人で、
あの価格を考慮に入れて
「行って良かった」、「おいしかった」と
褒めていた人はおりません。
私の感想も第17、18回のコラムで述べたように
「1回も行ってはいけない店」。
でも、山本氏は彼のメール配信やマスコミを通して
幾度となく絶賛していたのです。
最近こそあまり見られなくなりましたが、
今度はメール配信で「南翔饅頭店」に
注目店としての星印をつけてきました。
どちらも、彼の顧問先である
ソーホーズが関係している店であるのは説明済みです。

言わば身内の料理店に、
高評価を与えるというのはいかがなものか。
訪問した多くの人が賛同するならばわかりますが、
世間ではあまり良い噂を聞きません。
あの「東京最高のレストラン」でさえ、
料理には7点と並みの数値をつけています。
山本益博氏の評価の公平性というものを
考え直さなければならないかもしれません。

顧問契約を結んでいても、自分は絶対評価が出来る、
といった主張をされるかもしれませんが、
それは説得力にかけるでしょう。
判事が原告や被告の関係者であってはならないのと同じことです。
一般に評論界で生業を立てている人は、
この線引きをきっちりしておくことが第一と考えます。
しかし、日本の料理店評価の世界では、
彼以外にも、料理人との親しい関係を自慢し、
または一緒に食べ歩くジャーナリストが多いものですから、
山本氏も脇が甘くなったのでしょうか。
おっと、政治評論の世界でも、
政治家と会食を共にする人がいますけど。

顧問契約をするならば、料理評論家の看板を降ろし、
「料理店アドバイザー」と名乗るべきと考えます。
一般読者が判断を誤ります。