第150回 ホテルの店はやはりCPが悪かった、寿司「六緑」
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- 2003年11月24日(月)
テナント料が高く、内装その他コスト増となる要素が多いので、
食材や職人の質を落とさざるを得ないですし、
客層が広いですから、
無難な味付けにしなければならないのも理由の一つでしょう。
特に、和食、更に絞れば鮨屋ですが、
採算を考えてか、どうしても大箱になりがちです。
当然、職人の質も一定せず、
私は特に「ホテルの鮨屋にうまいものなし」を
定説として唱えております。
今回もその典型的な店に当たりました。
場所は流行の六本木ヒルズの一角、
グランド ハイアット東京の寿司「六緑」です。
ダイニング系の和食屋を思わせるモダンな空間。
無駄なスペースのなか、
カウンターやテーブル席は贅沢に配置されています。
とても、鮨屋には見えません。
スペースから考えると、この倍以上の席数を取れるはずですから、
無駄な固定費を売値に転嫁しているのが見え見えです。
料理はお任せの場合は1万5千円、1万8千円の2種と
はっきり開示しています。
価格の違いは焼き物の有無のようです。
この店はホテルの直営なのでしょうか、
主人という人は居らず、
和食を掛け持ちする料理長が両店を仕切っているそうです。
鮨職人は出身店がバラバラ。つまり寄せ集めです。
和食も兼任していますから、料理長も鮨職人ではないのでしょう、
ツマミや握りの出し方に私は疑問を持ちました。
ツマミは4~5種出てくるのですが、
普通の鮨屋のように1種ずつ出してくれるのではありません。
職人は、一種ずつサクから切り分けますが、
まな板にそれらを置いたまま次のネタに包丁を入れています。
そして、すべてのネタを切り分けた後で、
おもむろに大皿に盛り付けて一気に出してくるのです。
客側が2人、3人と多くなるほど
最初のネタに包丁を入れてから時間が経ってしまうので、
ネタの乾きなど問題がでてくると考えます。
皿や手間の省きを考えたやり方ですが、いかがなものか。
価格の割に傑出したものを感じないネタ自身に加えて、
職人の作業がこれですからよくおいしく感じるはずがありません。
握りもある程度のネタ数にまとめて包丁をいれ、
一気に握って出してきますから興ざめです。
カウンターなのに
テーブル席で「お決まり」を頼んでいるように感じました。
酒類もかなり高めの設定で、
1万8千円のお任せが〆て2万5千円を軽く超えてしまい、
CPの悪い最たる事例の一つと考えます。