第15回 料理人が本気で造ったら・・・

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  • 2003年6月2日(月)
テレビで鉄人の造っていた料理が
おいしそうだったのを覚えていますか。
私は鉄人だけでなく、ほとんどの挑戦者の料理も
おいしそうに感じたものでした。
でも、テレビの料理に惹かれて彼らの店へ行き、
結果がっかりしたという人の話をよく聞きませんか。
では、なぜ、鉄人に限らず多くの挑戦者までが
番組ではおいしそうな料理が造れて、
彼らの店ではおいしくない料理がでてくる場合が
多々あるのでしょうか。

実は、ある程度のレベルに達した料理人が本気で造れば、
それなりにおいしい料理を味わうことは出来るのです。
テレビではお金に糸目をつけずに食材を選び、
限られた時間ではありましたが、
手を抜かず本気で気合を込めて造っていたのでしょう。
本来、一般人にとってのおいしい料理は、
経験あるプロの料理人が食材費をケチらず、
どの客にも手を抜かず能力を発揮して造り、
喜んでもらえるようにサービスすることによって
完成するはずです。
飲食店サービスの基本ですが、
これを実行するのはなかなか難しい。
それは料理人の性格、店の経営方針によっては
この基本が守られないことがしばしばあるからです。
利益率を考えすぎて食材費率を平気で落とす。
客によって手間隙の差別をつけすぎる。
タニマチ・業界人との交流、イヴェントなどの副業に忙しくて
ほとんど厨房にたたない。
利益倍増を夢見て、多店舗展開をして、
厨房やフロアのスタッフのレベルを落とす。等々。

これらは料理の味には絶対にマイナスに働く要因となります。
このように、人として陥りやすい罠が
料理人の周囲には張り巡らされているのです。
いかに、目先の利益や儲け話に誘惑されずに店を続けていけるか、
業界人やマスコの甘い誘惑に負けず、
見栄をはらずに勘違いしないでいられるか、
楽をしながら暮らしていこうと考えず努力を続けられるか、
これら負の要因は、彼らの意志の強さや
性格の良し悪しに直接関係してくるからなのです。
明日から2回、このオーナー料理人の性格を問われる例として、
客へのサービスという基本を無視した店や儲け主義丸見え、
芸能人優遇しすぎの勘違い店を取り上げてみたいと思います。