第121回 初訪問、ル マンジュ トゥー
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- 2003年9月16日(火)
1.意外性のある立地のフレンチ。料理評価本では大変な高評価。
料理で「ロオジエ」より高く評価している本もある。
2.勿論、山本益博氏も褒めています。
3.ネットでは、女性スタッフの態度が悪すぎる、
といった苦情も多く、賛否両論あり。
4.シェフはいくつか本をだしている売れっ子。
5.3800円のコースとお任せ8000円がある。
<感想・その他>
立地
確かにイマイチです。最寄りは「牛込神楽坂」。
大江戸線ですが、駅から歩いても10分はかかります。
外観・内装
路地を入った、暗い住宅街にポツンと飲食店。
喫茶店と見間違うかのガラス張りの貧弱な店構えです。
勿論、レセプションなどあろうはずがなく、ドアも簡易なもの。
雨避けのテントもないので、
雨の日は傘をたたんで入店するのが大変でしょう。
店内は7卓。
14名のキャパで、2階がどうやら厨房のようです。
造られた料理は、リフトで階下にきます。
街の洋食屋のイメージ。まったく高級感はありません。
2回転しているテーブルもあり、
一応、クロスは交換していますが、
漂白があまくてシミがいくつも目立ちます。
食欲が萎える瞬間です。
「キノシタ」と同じく、
着席と同時に食前酒だけの小さなリストを持ってきます。
中・高級店にはないシステムです。ビールもあります。
客層
近所のオジサン、オバサンと
若いカップルが半々といったところです。
ドレスコード云々の店ではありませんが、
かえってジャケットを着ていると浮いてしまう雰囲気です。
サービス
問題の女性スタッフはいました。
確かに表情にゆとりがなく、きつい印象を受けます。
口調も杓子定規というのでしょうか、
温かみをあまり感じませんでしたが、
ネットでいわれているような最悪のサービスではありません。
かろうじて、許容範囲です。
料理
「東京最高のレストラン」では、
まず初めての客は3800円のコースを頼んで
シェフの腕を確信したら、次にお任せの8000円を頼め、
とありますが、一般客はそう何回も訪問できません。
迷った挙句、一発勝負で8000円のお任せを。
これがいけなかったか。
前菜2皿、魚、肉にデセールが2皿と量は充分すぎます。
しかも、この日だけの問題なのか、お任せの取り合わせが悪い。
前菜で鰻にフォアグラ、豚足と2皿続くのはいかがなものか。
夏なのに重すぎです。
シェフのセンスにも疑問です。
それに魚、肉とつづくと
かなり胃袋と精神的にも負担を感じてしまいます。
4皿あるなら、味付けや食材のメリハリが必要でしょう。
しかもお味。
「東京いい店うまい店」よ、
この料理が「ロオジエ」よりどこが上なのか。
悪くはなかったが、このお任せ料理を悶絶するくらいうまい、と
宣伝していたフードジャーナリストの舌も
私の理解の範囲を超えています。
ワイン
ワインは背伸びしない5~10000円のものが主体です。
アルザス、ローヌ、ブルゴーニュ、ボルドーと一応揃っています。
「東京最高のレストラン」では
二酸化硫黄の入っていないワインの取り揃えが凄い、と
書いてありましたが、有機栽培の間違いではないでしょうか。
アルザスなどにそれらしきワインがあったようですが、
ボルドーやブルゴーニュに
二酸化硫黄を添加していないワインは考えられない。
防腐剤に位置するこの二酸化硫黄を添加しなくては、
ワインはすぐにやられてしまいます。
これは、一時話題になった漫画「ソムリエ」でも
取り上げた問題です。
やはり料理研究家か評論家だったか定かではありませんが、
そのようなことを言って、主人公にやられていました。
二酸化硫黄を添加していないワインが凄い、
なんて思っているワイン好きは存在しないでしょう。
ワインは無添加であれば良い、というものではないのです。
ロマネ・コンティもペトリュスもみな入っているはずです。
生半可の知識はライターとして禁物です。
その他
お腹のもたれる料理に1万円前後のワイン、
グラスシャンパーニュやワインも少々頼んで
予算は一人18000円くらい。
サービス料も10%あり、この手の店構えでは高いフレンチです。
<結論>
1.なぜ、この店の料理が「ロオジェ」より上なのか。
理解できません。
2.またまた立地の悪い、街場の店の過大評価版と判断しました。
3.サービス、雰囲気に加えて、アクセスの悪い客でしたら、
時間及び運賃の損失を考えるとCPはよくない。
1回目も2回目も3800円の料理で充分だ。
実際、3800円の料理のほうが魅力的に見えました。
4.地元の方がちょっとフレンチを食べてみよう、と訪れる
位置づけの店です。
5.今の「ラ リューン」の永田シェフが
「オオイシ」時代に出していた8000円のお任せの方が、
はるかにCPを含めて良かった。今は?ですよ。