第122回 料理評論家、フードジャーナリストの習性・実態 その12自分の事を棚に上げて・・・

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  • 2003年9月17日(水)
8月末のある週刊誌で、またまた拙著が取り上げられました。
8/25の週始めより7日間述べさせていただいた
「ある雑誌のボツになった原稿・・・」は
この週刊誌への取材回答ではありません。
たまたま時期が重なってしまったため、
この週刊誌と勘違いされた方もいらっしゃったようです。

記事になった週刊誌にも
きっちり取材回答させていただいたのですが、
やはり質問に料理店やフードジャーナリストの
思惑が垣間見えました。
この記事の中で、フードジャーナリスト
(私が拙著やコラムで批判したからかわかりませんが、
最近はレストランジャーナリストと名乗っている)の
犬養裕美子氏は論点をすり変えて、
しかも自分の事を平気で棚に上げてこう憤っておられました。
要約すると、
「この本は事実の確認をせずに
憶測を交えた文章で店を傷つけている。
一度しか行っていない店の悪口も書いているが、
どこまでその店のことを理解しているか疑問。
『ガンベロ ロッソ』の編集長は
店の評価をする際は料理人や従業員、その家族の生活がある。
それを考えて見逃せない不正や問題点があれば書くが
確信がなければ書かないと言っている。」

犬養氏の指摘は、いちいち反論する価値がないほど
論理的なものではない、矛盾だらけのものなのですが、
このコメントに彼ら料理評論家、
フードジャーナリストの習性が如実に表れているので、
敢えて述べてみることにしました。
つまり、「自分の事を棚に上げて発言する」、という習性です。

グラフ社に、料理人やマスコミ関係者と推測される
匿名のクレーム電話などはきたそうですが、
事実と異なることを記載された、と
具体例を挙げてきたクレームは未だに来ていません。
犬養氏は、拙著のどこが事実に反し、
憶測で書かれたというのでしょうか。
事実誤認をなんら具体的に挙げずに、
勝手に決め付けていいのでしょうか。
具体的指摘なくして、相手を批判しても意味がありません。
恣意的に読者に誤った印象を与える感心しない手法です。
自分こそ
「事実を確認せずにヨイショ、ほめまくった提灯記事」によって
読者が被った損失への反省がないのでしょうか。
私は具体的にそれらを挙げています。

例えば「麻布 かどわき」。
「タイトル」という雑誌に載った犬養氏の紹介文では、
「最終的にはお客様を満足させることが出来ればいい」と
店主のコメントを垂れ流し、
犬養氏自身も
「料理だけでなく、店の人の細かいサービスも気持ちがいい。
デート向き」と宣伝しています。
お客様の満足を考える店主が、
なぜに客の追い出しをするのでしょうか。
儲けられる時に少しでも儲けよう、と
ソロバン勘定だけで、一見客をたたき出して
店の回転率をあげようと画策していた店主です。
きめ細かく、気持ちのいいサービスをするというスタッフが、
なぜに客のコートを勝手に玄関へもって行くと通達し、
今すぐ席を立たせようとするのか。
「かどわき」の客追い出しは私だけでなく、
他の料理店で食事中、隣の客も話題にしたのを
聞いた事があります。

だいたい、
こんな店は1回行っていやな目に合えばそれで充分です。
店主の人間性の問題を見てしまったのですから、
再訪してこれ以上理解することは必要ありません。
客とお店は一期一会。
たまたま料理人の体調など
不可抗力でおいしく感じなかった場合は、
再び訪れてみる必要はありますが、
このような性格に関係することでの不愉快は一度で充分です。
そのことは拙著にもきっちり書いてあります。
しかも、取り上げたほとんどの店は、
最近の店、人気店で予約がとりにくい店以外、
私は何回も行っています。
どれが1回だけなのでしょうか。
私は実名取材ではありませんから、
店側も確認する術がないはずです。
まして犬養氏は、友里が各店に何回行ったか、
わかるはずがありません。
犬養氏は事実を確認しておらず、読者に誤解を与えます。

カード手数料の問題児「幸村」へも何回も行っています。
しかも手数料の問題を指摘した後も、
私は訪れ、しかも現金で決済しています。

逆に彼女の方こそ、
店には1回しか行っていないとしか考えられない疑惑があります。
犬養氏は取材回数を自慢しています。
12,500回になるそうですが、
それこそ物理的に矛盾しているのです。
仮に毎日昼、夜食べても1年で730店。
12,500回ということは、
毎日連続で昼夜17年間食べ続けることになります。
これだけでも眉唾ものですが、
1回ではなく最低2回行ったのでしたら、
連続で34年間になります。
中学や高校時代は取材していないと仮定すると、
彼女の年齢は50を超えているのでしょうか。
これこそ天に唾、自分の事を棚に上げる、と言うものです。

仮に一日に2回ではなくそれ以上取材している、というならば、
それはただの料理人のコメント取りと写真取材だけなのでしょう。
それは、1回しか訪れないというのではなく、
0.5回しか行かないということになります。
一口食べるだけとか、一皿食べるだけとしても、
それでは店のトータルな判断はできません。
店、料理人をヨイショする権利はないでしょう。
それとも、彼女は、店を必要以上に褒め上げ、ヨイショするには
1回だけでもいいが、
問題点を指摘するには何回も行かなければならない、と
言うのでしょうか。
これでは、まったく読者ではなく店側の主張になります。

彼女らフードジャーナリストの収入は
誰から出ているのでしょうか。
直接は原稿料や取材費として出版社から払われるでしょうが、
最終的には一般読者の支払の結果です。
料理人から収入を得ているわけではないのです。
主権が誰にあるのか、誰のおかげで生業を立てていけるのか、
しっかり考え直すべきです。

確かに料理人や従業員の生活はあります。
しかし、「ガンベロ ロッソ」の編集長は、
彼らの生活を守るためなら、
読者を犠牲にしても問題点を指摘してはいけない、とは
言ってはいないはずです。
犬養氏は有名人のコメントを、
自分たちに有利になるようすり替えています。
友里は、自分の受けた事実に基づいて書いているだけです。
「追い出し」も「カード手数料の客への転嫁」も
「カード会社からの説得にも抵抗した」のもすべて事実です。
このような客をないがしろにした料理人の悪弊を、
「ガンベロ ロッソ」の編集長が、
彼らの生活を守る為に見逃せ、と言うはずがないと
私は確信しています。

犬養氏が読者の為ではなく、
彼ら料理人を守りたいなら、
「本当は客を追い出したことはない」ということを
立証して反論するか、
擁護のコラムなり本を出版したらいかがでしょうか。
私は「まったくその通り」との
元店関係者からのコメントを、実名でいただいております。

料理評論家、フードジャーナリストが逃げ回っているのが、
「特別料理」、「特別待遇」問題です。
私は口をすっぱくして、本来読者、一般客のためである評価本が、
彼らが食べられない「特別料理」を「特別待遇」のなかで食べて
褒めまくってコメントしているのが、
購読する読者、一般客のためになるのか、と問題提起しています。
つまらない揚足取りや、
それこそ勝手に事実を確認しないで批判する前に、
読者、一般客にこの重要な問題を説明してもらいたいと思います。

本当に「自分を棚に上げて」料理人を庇い、客や読者を顧みず
友里を非難するだけなのですから、彼らの思考は理解できません。
ジャーナリストは取材対象者の為ではなく、
一般読者のために仕事をしなければならないはずです。
癒着は必要ありません。