第120回 ダイニング系の繁殖について その4このままでは新店はみなダイニング?

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  • 2003年9月15日(月)
最近グルメ関係の雑誌の新店紹介記事を読みますと、
そのほとんどの店が
いわゆるダイニング系と思われる外観、内装、料理を
前面に押し出しています。
ダイニングの定義でも述べましたが、
なぜかカウンターや洋風テーブルを主体にしていながら
個室も多くある不思議、
和食ともフレンチともとれない
クロスオーバーというか無国籍料理。
黒や赤の配色を施す、滝や中庭を配置する、といった
隠れ家風の内装。
どれも場所は違いますが、
同じようなコンセプトの店がばんばん出来てきています。
まとも、と言っては語弊があるかもしれませんが、
普通の店構えの出店がほとんどありません。
ダイニング専門のような月刊雑誌もでています。

カタカナ出資会社のチェーン店に位置する店が多い
このダイニングに勢いに押され、
オーナーシェフの独立店は、わずかに紹介されているだけです。
潰れていくイタリアン、フレンチも多いですから、
このままでは、普通の店よりも、
何の料理なのかはっきりわからない大量生産料理を、
派手な色調ながら暗い大箱なホールや個室で、
友達感覚でサービスする、
いわゆるダイニングが大多数を占めてしまうかもしれません。
日本は一度当たると皆真似をしてくる習性があります。
随分昔になりますが、一時「もつ鍋」が大流行で、
街中に赤い旗がなびいていた時期がありましたが、
今「もつ鍋屋」を探し出すことは非常に困難です。
外観、内装、客層に、素人に毛の生えただけの料理の店が
こんなに蔓延してきたら、
「もつ鍋」のように廃れてしまうのも時間の問題かもしれません。

店構えとか、内装にだけに知恵を絞るのではなく、
長期的に客を捕まえられるような
料理とサービスにウエートを置いた店造りをしてもらいたいと
私は考えます。
そのようなコンセプトで店造りを考えれば、
今のようなダイニング系が増え続けるはずがないと思うのです。