第107回 なぜ、炭火焼がブームなのか
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- 2003年9月2日(火)
鰻、焼き鳥は勿論のこと、
フレンチやイタリアンにまでどんどん取り入れられてきました。
特にイタリアンが多いのは偶然でしょうか。
ちょっと昔では、イタリアンの中で、炭火で焼き上げると言えば、
トスカーナのTボーンステーキくらいしか
思い浮かびませんでした。
普通は北ならば煮込がありますが、
せいぜいソテーやローストして
オイルや軽めのソースで仕上げるというものが
一般的だったと思います。
それがいつの間にか、塩振って炭火で焼いて出すだけ。
素材感と焼き上げるタイミングが勝負なだけの料理が
大手を振って進出してきたのです。
西麻布に「リストランテ 寺内」が
イタリアンで炭火焼専門店のような位置づけで
人気を得てきました。
料理のジャンルがあるかはわかりませんが、
銀座などではこのような焼き物(主に豚)を主力に、
南仏のワインを揃えて安い価格で提供する店が増えてきたのです。
「ヴァンピックル」や「マルディ グラ」もこの範疇でしょうか。
そして、人気シェフの店「アロマクラシコ」も
「アロマフレスカ」とは違って、
炭火焼をメインにオープンしてきました。
どうして今、和、韓国だけでなく
イタリアンも皆炭火焼になるのか、不思議ではありませんか。
塩振って焼いた豚がイタリアンと言えるのかは
私にはわかりません。
でも、これには訳があるようです。
一見、炭火焼は焼き具合云々を言われて、
焼き手の技量を問われる記述を見かけますが、
それなりの素材を仕入れて大きめに焼けば、
店側には大きなメリットをもたらすようです。
仕込みが楽ですし、手間もはぶけます。
ブランドポークといえども安い豚肉は
このシンプルな調理が
一番誰でもおいしく感じるのではないでしょうか。
安い割に味わいのある豚を、
仕込みなど手間をかけずに客に提供できる。客もおいしいと喜ぶ。
店、客ともにハッピーな料理のようですが、
あまりに流行りすぎると、バスク料理なのか、イタリアンなのか、
南仏なのか、焼き豚なのか、
区別がつかなくなってしまうと思うのです。